「夫が隠す心の内」余命わずかの妻が下した決断 カンヌ受賞のモロッコ映画が描くタブーと文化

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『青いカフタンの仕立て屋』© Les Films du Nouveau Monde - Ali n’ Productions - Velvet Films – Snowglobe (東洋経済オンライン読者向けプレミアム試写会への応募はこちら

デビュー作から2作連続でカンヌ映画祭に選ばれ、今年のカンヌ映画祭ではコンペティション部門の審査員に選出されているモロッコ出身の気鋭の映画監督、マリヤム・トゥザニ。

彼女はこう語っている。「愛する人にありのままの自分を受け入れてもらう。人生においてこれほど美しいことがあるだろうか――」と。

2021年に日本公開された映画『モロッコ、彼女たちの朝』のトゥザニ監督の最新作『青いカフタンの仕立て屋』が6月16日よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほかにて全国公開される。

カンヌ映画祭など国際的にも高い評価

モロッコの旧市街で仕立て屋を営む夫婦の慈愛に満ちた思いと、せつなくも温かい決断を詩情豊かに描きだすとともに、センシティブな問題を国際社会に問いかけた本作は、2022年のカンヌ映画祭「ある視点」部門に出品され、国際映画批評家連盟賞を受賞。

2023年6月9日(金)~11日(日)にオンライン試写会を開催します(上記画像をクリックすると試写会応募画面にジャンプします)

さらに2023年アメリカのアカデミー賞国際長編映画賞のモロッコ代表としてショートリスト(最終候補15作品)に選ばれるなど、国際的にも高い評価を受けている。

本作のタイトルにもあるカフタンとはモロッコの民族衣装で、結婚式や宗教行事など、フォーマルな席で着用するドレスのこと。コードや飾りボタンなどで華やかに刺繍を施し、完成に数カ月を費やすオーダーメイドの高級品となる。

母から娘へ、世代を超えて受け継がれる伝統的な衣装だが、安価で手早く仕上がるミシン刺繍が主流となった現代では、手間暇かかる手刺繍は貴重な存在であるにもかかわらず、それを理解する客は少なくなってきている。

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