続いて『劇場版 呪術廻戦 0』も海外興行収入が100億円を突破すると、海外の関係者も一層「次の日本アニメは何だ」と関心を強めていく。こうした連続ヒットのさなか、『すずめの戸締まり』ではソニー・ピクチャーズが共同配給の一員に加わり、念願の米メジャースタジオによる配給が実現。竹田氏は「営業を始めた頃には、米メジャースタジオと関係を築ける日は来ないと思っていた。アニメがその状況を覆した」と語る。
需要の広がりはまだ期待できる。注目を集めるのが人口14億人のインド。2019年には『天気の子』の劇場公開へ向け5万人もの署名が集まった。コミックス・ウェーブでも、ヒンディー語吹き替えに向けた翻訳に着手している。
「もともと映画の国で、劇場も熱気に包まれる。足元で現地のチケット単価は200〜300円程度だが、これが少しでも日本の水準に近づこうものなら、非常に大きな市場になる」(角南常務)
サウジの皇太子は生粋のアニメファン
サウジアラビアも有望な市場だ。同国では石油依存型社会からの脱却を課題に、エンタメ産業を成長分野の1つに選定。何より、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子は日本アニメの大ファン。政府系ファンドも、東映や任天堂など日本のエンタメ企業に相次ぎ出資し、国家を挙げて関与を強める。
2019年からは、サウジアラビア政府などから依頼を受けた電通のプロデュースで、日本アニメの一大イベント「サウジアニメエキスポ」が始まった。
同社のコンテンツビジネス・デザイン・センターでチーフ・プロデューサーを務める新居祐介氏は「現地のファンが日本語でアニメソングを歌うなど、その熱狂はすさまじい。日本アニメで盛り上がりたいのに、その場所がなかった。若いアニメファンが増えている国・地域がほかにもある。同じモデルのイベントなどを横展開したい」と意気込む。
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