「産後ケアホテル」を立ち上げた女性が描く未来 自分だからこそやるべき「仕事」を見つけたい

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(写真:woman type編集部)

私の父は経営者。その背中を見て育ってきたからこそ、自分も何かビジネスをやりたいという気持ちも芽生えていました。

ただ好きなことに関わるだけでなく、自分だからこそやるべき「仕事」を見つけたい──。

それを探したい思いで、大学卒業後は発達支援など療育を手掛ける企業に入社し、そこで3年ほど経験を積んだ後で現在の職場であるNSグループに転職。

グループ初となる保育園事業の立ち上げを行いました。

保育園の立ち上げから運営まで一貫して関わる中で、ある時ふと、俳優の小雪さんが韓国で出産し、産後ケア施設を使ったという話をテレビ番組を通じて目にする機会がありました。

「すごい、海外にはこんなところがあるんだ」と驚いたのと同時に、日本との違いを知って愕然としました。

ボロボロの体のまま頑張ろうとしてしまう人も多い

私は普段、保育園で親御さんとはよく触れ合っていたのですが、園にいらっしゃる皆さんはもう産後のつらい時期を乗り越えた人たちばかり。

もしかすると、産後に体調を崩してしまい、満足に子育てができていないお母さんだっているのかもしれない。

私が目にしているのは、本当に一部のお母さんたちなんだ……。そういう事実に気付かされましたね。

(写真:woman type編集部)

そんな思いが芽生えた時に、姉が出産を経験。

普段はしっかり者で元気いっぱいな姉が、産後は心身ともに大きなダメージを受けていて、何だかとてもショックでした。

産後ケアホテル『マームガーデン』の医療監修を務めてくださった産婦人科医の宗田聡先生によれば、出産後の女性の体は「車にひかれる」のと同程度のダメージを受けているのだそうです。

関連記事:産後ケアで変わる「出産後の常識」【小雪×斎藤睦美×稲冨幹也×宗田 聡】

それなのに、日本では産後の女性たちが専門家の手を離れて放置されがち。

高齢出産や核家族化の進行などによって頼れる家族が近くにいない状況にある女性たちが増えている中で、ボロボロの体のまま産後いきなり育児を頑張ろうとしてしまう人も多い状況です。

次ページなぜ日本では、産後ケアの体制がこんなに脆弱なのか
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