「月曜から夜ふかし」に見る"しつこさ"の効用 うざがられても折れない、日テレの強靭さ

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それならば、せめて別の映像を作ればいいのに、なぜ同じ映像を流すのか。それは番組を途中から見る視聴者を逃さないためではないかと思います。

基本だけど、実行するのは難しい

たとえば、ザ行が言えないお母さんの映像にしても、最初からずっと見ている視聴者にとっては、

「また、ダクロか、しつこいな」

と思われることも多そうですが、番組中盤から見た視聴者にとっては、初めての映像。

「へ〜、面白そうだな。このままチャンネル変えずに見ようか」

ということになります。

また、うまいなと思うのが、「この人誰だろう」という人を、山場CMや番宣の中にうまく入れ込んでいるところ。前出のダクロのお母さんは、普通のお母さんだし、藤田ニコルさんもティーンエージャーの間では有名人ですが、芸能界では新人。有名人の中にひとり、知らない人が混ざっていると、「この人、誰だろう」と興味を持ちます。これはネットのニュースの見出しなどでも、たまに使われる手法です。

昨年、テレビ朝日の番組宣伝手法について本欄に書いたとき、日本テレビの関係者から、「ウチも、テレ朝と同じぐらい、ものすごく工夫しているのだ」と言われました。確かにこうしてあらためて分析してみると、とてもシンプルで、効果的な番組宣伝をしていることに気づきました。

何度も同じことをしつこいぐらいに繰り返す。うざいと思われても、繰り返す。これって、基本ですが、実行するのは難しいこと。仕事でも、同じ企画や提案を上司に出し続けるのは、なかなかできません。今回は、日テレの成功から、「繰り返しの効用」を学んだような気がします。

佐藤 智恵 作家・コンサルタント 

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さとう ちえ / Chie Sato

1970年兵庫県生まれ。1992年東京大学教養学部卒業後、NHK入局。ディレクターとして報道番組、音楽番組を制作。 2001年米コロンビア大学経営大学院修了(MBA)。ボストンコンサルティンググループ、外資系テレビ局などを経て、2012年、作家/コンサルタントとして独立。主な著書に『ハーバードでいちばん人気の国・日本』(PHP新書)、『スタンフォードでいちばん人気の授業』(幻冬舎)、『ハーバード日本史教室』(中公新書ラクレ)、『ハーバードはなぜ日本の「基本」を大事にするのか』(日経プレミアシリーズ)、最新刊は『コロナ後―ハーバード知日派10人が語る未来―』(新潮新書)。公式ウェブサイト

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