「トイレなぜ使用禁止?」開放できない深刻事情 厚意で貸しているのに…理不尽クレームに絶望

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それから半年経ってなお、トイレの貸し出しをもとめる人はひきもきらないという。トイレはないと断られたハイカーが「トイレないわけないやろ!」と寺務所の人間に罵声を浴びせることもあったそうだ。

ゴールデンウィーク直前の4月27日も、2人組の女性が「もう限界だ。我慢ができない」と寺にやってきた。

「このご婦人から『本に載ってるのに』とえらい怒られました。それで見せてくれたのがガイドブックでした」

六甲山エリアを紹介したガイドブック『るるぶ六甲山有馬温泉』(JTBパブリッシング)が「鷲林寺」にトイレを意味する「WC」マークをつけて紹介していた。

最新号だが、発行は2018年3月とのこと。確認や許可のないまま掲載された情報を見た旅行者やハイカーが寺にトイレを借りに来る理由がわかった。

SNSのフォロワーから、別の出版社のガイドブックでも紹介されていると指摘されたことから、藤原さんはそれぞれの出版社に問い合わせた。

「るるぶ」を作るJTBパブリッシングなど出版社の対応

藤原さんによると、連絡した1社からは、掲載されていたガイドブックがかなり古いものだったこともあり、在庫の残る書店からの撤去に動くと説明されたという。また、現地調査時に寺側に確認をとらなかったことについても謝罪を受けたそうだ。

JTBパブリッシングも公式サイトに『るるぶ六甲山有馬温泉』の訂正情報を出した。

『るるぶ』の最初の訂正内容(5月9日付)、公式サイトから(画像:弁護士ドットコムニュース)

5月9日に出たシンプルな訂正は、寺の都合だけで使えなくなったと受けとられかねない内容だったこともあり、11日になると事態の経緯や謝罪も含めたものに改められた。

『るるぶ』の再訂正内容(5月11日付)、公式サイトから(画像:弁護士ドットコムニュース)

該当の『るるぶ』を作ったJTBパブリッシング西日本支社の編集部が5月12日、弁護士ドットコムニュースの取材に答えた。

『るるぶ』では、トイレの情報を掲載する際は「観光スポット」として紹介する施設などには掲載確認をとるが、鷲林寺は「観光(ハイキング)ルート上でのスポット」だったため、確認しなかったという。

2018年号が最新版ということで、およそ5年にわたり、トイレ情報が掲載されたことになる。その間、鷲林寺のトイレ問題は把握していなかったそうだ。

なお、電子書籍の『るるぶ』から鷲林寺のトイレマークを削れるか、社内で検討中だという。

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