近畿日本ツーリスト「コロナ過大請求」の重い代償 実は「ドル箱」事業で過去最高益を計画していた

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近ツリや親会社のKNT-CTホールディングス(HD)の業績にとって、コロナ関連の受託事業は、大きな意味を持っていた。

KNT-CTHDと近ツリは、新型コロナの受託事業の利益率を明らかにしていない。だが、同事業が「ドル箱」であったことは、親会社であるKNT-CTHDの2022年度業績を見れば明らかだ。同社は、2022年度の業績は、売上高2440億円、営業利益80億円、当期純利益80億円を見込んでいる(2月9日発表時点)。

記者の質問に答える髙浦雅彦社長(写真:梅谷秀司)

極めて異様な決算計画だった

この決算は極めて異様であった。同社の本業である旅行事業はコロナ影響が色濃く、苦戦が続いている。2022年4月〜2023年2月の取扱額は、2340億円と、2019年度同期間の4452億円の半分程度でしかない。だが、今期の当期純利益は80億円と最高純利益を計画していたのだ(これまでの最高純利益は2015年12月期の43億円)。

この利益水準には自治体から受託したコロナ関連事業が大きく貢献していたとみられる。2月に業績修正を発表した際には、新型コロナウイルス感染拡大の第7~8波の影響で売上高予想は下振れさせていたものの、純利益は当初の40億円から80億円に上方修正をした。利益倍増の理由の1つとして、「新型コロナウイルス関連業務等のBPO事業の受注」を挙げていた。

だが、今回の過大請求を受けて、稼ぎ頭となってきたコロナ関連をはじめとした自治体からの受託事業は大きな打撃を受けるだろう。

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