日本で衰退「チカラめし」タイで復活期す納得理由 味付けやメニューは日本と同じ、香港でも展開
背景にあるのはタイの経済成長だ。一人あたりGDP(国内総生産)は2000年の約8万バーツ(約21万円、当時のレート)から、2022年には約24万8000バーツ(約98万8000円)と、およそ20年で3倍以上に増えた。
低所得者層が底上げされただけでなく、月額平均所得5万~10万バーツ(約20~40万円)と、経済力を持つようになった中間層はバンコク首都圏で17.2%に上る(出所:十六アジアレポート)。
高級寿司店に舌鼓を打つタイ人富裕層
この人々の間では以前から日本食がブームになっていたが、2013年に大きな契機が訪れる。日本はタイ人に対して入国ビザの免除を決定。タイ人中間層や富裕層の間で日本旅行ブームが巻き起こるのだ。
彼ら彼女らが日本で本格的な和食を楽しみ、それを母国でも食べたいという需要が増え、高価格帯だが日本と同じクオリティ、サービスの店がタイでも求められるようになっていく。
「いま流行しているのはおまかせ寿司です」と語るのはタイに住む飲食関係の日本人。
「ひとり6000バーツ(約2万4000円)、9000バーツ(約3万6000円)といったコース料理のみの設定。腕のいい日本人の板前を日本よりもいい給料で雇い、その板前の名前を店名につける店がずいぶん増えました」(前出・飲食関係の日本人)
こうした高級店から、庶民でも手の届く価格帯まで、タイの日本食店は増加の一途だ。タイ人経営も多いし、日系は大手だけでなく中小や個人店も参入してきている。コロナ禍の入国制限がタイでも日本でも全面解除されたことで、タイ進出ラッシュにさらに拍車がかかりそうだ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら