ベスト電器、ヤマダ傘下で問われる親孝行 4期連続で利益見通しを下方修正

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50坪以下の小型店でも開業できるフランチャイズシステムも展開。2015年2月末時点で192店

子会社の下方修正に続いて、親のヤマダ電機も4月20日、2015年3月期業績の下方修正を発表した。消費増税後の反動減や冷夏や暖冬による季節関連商品の伸び悩みなど、複数の要因が重なって売上高が予想を下回り、営業利益は従来予想の320億円から199億円(前期実績324億円)まで引き下げている。

反動減の影響で苦戦するのはヤマダグループだけではない。2015年3月期の家電量販店の決算発表は間近だが、大半が2014年3月期の実績を下回る公算だ。決算期は異なるものの、コジマは中間決算発表直前の4月3日、2015年8月期通期の業績見通しを下方修正しており、駆け込み需要の反動減からの回復が遅れていることをその理由に挙げている。

今期の業績見通しは”保守的”

ベスト電器買収の狙いについて語った山田昇会長兼CEO(2012年11月撮影)(撮影:吉野純治)

2007年にビックカメラと資本業務したのを経て、「連携して事業展開することで、ヤマダ電機が有する高い競争力や信用力を享受することが可能になる」として、2012年7月にベスト電器の2位株主であるヤマダとの資本・業務提携を発表。同年12月に傘下に入った。当時のインタビューで、ヤマダ電機の創業者である山田昇会長兼CEOは、ベスト電器買収の狙いについて、「時間を買った。放っておいてもヤマダは出店するからいずれは駆逐することになっただろう」と話していた。

業界首位の傘下に入ったことで、共同商品調達で仕入れ値が抑えられ、品揃えも充実させられるようになった。2014年2月期には前期の赤字から黒字に復帰。これには業務を効率化し残業を徹底的に減らすなど、自助努力による改善も効いている。以後、2期連続黒字ではあるものの、2015年2月期は大幅な減益となっただけに、「時間とシェア」を買ったヤマダ電機の期待には応えられていない。

2016年2月期の売上高はほぼ前期並み、営業利益は9億円(前期6.9億円)を計画している。当初、2015年3月期の営業利益を前期比115%増の23億円とした前期と比べると、"保守的”になったようにも見える。今後は店舗改装を進め、店舗あたりの売上げを伸ばす考えで、新規出店の計画はなく、既存店の体質強化を優先する。仕入れの一本化などで、ヤマダ電機の傘下に入った恩恵は受けているだけに、それを活かして成長路線に復帰できるか。親孝行は道半ばだ。

富田 頌子 東洋経済 記者

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とみた しょうこ / Shoko Tomita

銀行を経て2014年東洋経済新報社入社。電機・家電量販店業界の担当記者や『週刊東洋経済』編集部を経験した後、「東洋経済オンライン」編集部へ。

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