4位は伊藤忠テクノソリューションズ(27.0時間削減、以下同)。同社は朝型勤務(9:00~17:30の勤務を基本)の徹底、効率的な働き方を推進する制度やシステム導入などを実施。経営トップのメッセージ発信で本気度を示し、働き方の時間・場所の選択肢拡大として「時間単位有休」「スライドワーク」「テレワーク」も導入した。
5位は日鉄ソリューションズ(26.0時間)。中期事業計画、年度事業計画時に各事業部門の総労働時間・年次有給休暇の取得目標を策定するなどの活動が功を奏した。
以下、6位丹青社(23.3時間)、7位マツキヨココカラ&カンパニー(23.2時間)、8位バンダイナムコホールディングス(22.8時間)、9位横浜魚類(21.9時間)、10位エイベックス(21.8時間)と続く。
残業時間はどこまで減らせばいいのか
ランキング対象467社のうち10年間で残業時間が減った会社は237社。逆に増加は227社だった(ほかに増減ゼロが3社)。各年の回答企業全社の月間残業時間の平均値で見ると、2011年度18.2時間(722社)に対して2021年度17.3時間(967社)と10年間で約1時間減少となっている。
過去の『CSR企業白書』掲載情報によると、平均月間残業時間は2015年度18.9時間(741社)、2016年度18.6時間(756社)、2017年度18.8時間(804社)、2018年度18.6時間(828社)、2019年度17.7時間(866社)、2020年度15.5時間(921社)となっている。2021年度は前年から1.8時間増加しており、2020年度はコロナ禍の異常値で、長いスパンでは残業時間は大きく変わっていないという見方もできる。
健康を害するほどの長時間残業はもちろん減らしていかなければならないが、この17~18時間くらいがちょうどよいところなのかもしれない。
ESG評価では残業は少ないほうが評価は高い。ただ、それも程度問題だろう。業績好調時ではどうしても残業は増える。「若いうちは多少残業して仕事を覚えたほうがいい」という意見もある。「ゼロを目指すべき」とは言いにくく、適切な数値を判断するのがむずかしい項目の1つである。
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