日立「ルマーダ」が激変させたヤオコーの商品発注 2024年度に売上高2.7兆円を計画する成長の柱

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「伝統的な方法はまず顧客の数から予測する。一方で日立は売価や天気、店舗の休みなどを基に、その商品の需要がどれだけ上がるかを予想している」(音川氏)。この予測はオプティマムアーキテクト(東京都港区)という外部企業とも連携し、精度を上げているという。

さらに日立は「アジャイル開発」を今回用いた。事前に詳細な計画を立てて作業を順番に進めるのではなく、検証と調整を細かく繰り返す手法だ。日立とヤオコーから双方合わせて約10人の担当者が集まり、毎週会議をしてすり合わせを行った。

課題解決が新たな課題を呼び込む

ヤオコーの案件で日立が行ったのは、システム構築とその保守だ。日立がイメージするルマーダビジネスの4つの領域(下図)の右下と左上に当たる。

音川氏は、「今後機能を追加していく中で、すでにあるPOS(販売時点情報管理)端末などにメスを入れなければいけないことも出てくる」と考える。そのような企画・立案を行えば、システム構築から運用・保守という新たなサイクルが生まれるかもしれない。

日立のルマーダの4象限

日立は現在、ヤオコーの物流センターへのWMS(倉庫管理システム)導入を支援している。AI自動発注のデータを活用して、物流も効率化する。1つの課題を解決したことで次の課題が見つかり、新たなビジネスにつながる――。これはまさに、現在のルマーダが目指す好循環と言えるだろう。

「ハードルは絶対に高いなとは思うが、ヤオコーで培った技術を製造業の工場で使うなど、業界を跨ぎたい」。音川氏は意気込みをそう語る。ルマーダ案件の積み上げや横展開をどれだけ早期に進められるか。それが今後の日立の成長のカギを握っている。

藤原 宏成 東洋経済 記者

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ふじわら ひろなる / Hironaru Fujiwara

1994年生まれ、静岡県浜松市出身。2017年、早稲田大学商学部卒、東洋経済新報社入社。学生時代は、ゼミで金融、サークルで広告を研究。銀行など金融業界を担当。

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