日立「ルマーダ」が激変させたヤオコーの商品発注 2024年度に売上高2.7兆円を計画する成長の柱
日立はこのルマーダビジネスを大きく成長させようと目論んでいる。2022年度は1.96兆円だった売上高を、2024年度には2.65兆円にする計画だ。これが達成できれば、日立全体の売上高の3分の1、利益の4割強を担うことになる。
ルマーダビジネスの拡大を加速するために何が必要か。小島啓二社長は「必要になるのは実績とデータ。データやナレッジをいかに大きくしていけるかが勝負だ」と話す。実績データを蓄積し、ビジネスに携わる人材をAIに置き換えていければ、事業拡大の制約が緩和されるからだ。
ルマーダの案件積み上げは着々と進んできている。2018年度は650件だった導入事例は、2022年度に1330件と倍以上に。その業種は日立が従来得意としてきた製造業にとどまらず、小売業など多岐にわたっている。
一般食品などで98%の精度
ヤオコーの場合、抱えていた課題は「いかに少ない人数で店舗を回せるか、付加価値のある業務に人を回せるか」(ヤオコーの小笠原氏)だった。小売りの現場では「高齢化もあって、会社も各店舗も人を雇うことがどんどん難しくなっている」(同)ことが背景にある。
当然、発注業務にかかる人員や時間の削減も急務だった。そこで新たに、AIを用いた自動発注システムの導入を決意。複数のベンダーから提案を募った結果、選んだのが日立だった。
なぜ、日立を選んだのか。小笠原氏は「精度にだいぶ差があった」と振り返る。他社のものと比べると、イレギュラーな需要が発生しやすい年末年始の予測などで、実態に近い予想が出せていたという。
実際、一般食品や雑貨などを扱うグロッサリー部では、AIの提案がそのまま発注に採用される比率が98%になっている。
この比率からもその精度の高さがうかがえる。ヤオコーの案件を担当した日立の産業・流通ビジネスユニットの音川芳賢主任技師は、「他社とはアプローチが違った」と成功の秘訣を語る。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら