中国のお金持ち旅行者が感じる「日本の残念な点」 富裕層はLCCを使わないという大いなる勘違い

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例えば、彼女がインスタで紹介したヨーロッパの高級化粧品ブランドがその3年後日本に上陸したことがある。1つ当たり10万円以上するスキンケアがあっという間に、訪日中国人間でも日本の富裕層の間でも流行るようになったのだ。

中国の富裕層は、観光ビザがまだ再開されていなくても、ビジネスビザで気軽に来日している。訪日旅行の定番は、①銀座のブランド専門店で好きなものを買い込む、②薬局などで日用品やお土産をスーツケース1個分買う、③在日中国人の友達とインスタ映えする飲食店をめぐる、④地方に行って高級旅館やスキーなどを楽しむ、となっている。

Aさんも、今年の3月に1週間滞在したが、筆者が把握しただけでも消費額は300万円を超え、さらにもう一軒マンションを購入することも検討中のようだ。「景気がいいね」としか言えないぐらいバブっていた。

「お金持ちはLCCに乗らない」なんて誰が言った?

そんな彼女に、「日本について何か違和感あるか」を聞くたびに、毎回「成田空港のT3をもっとしっかりしてほしい」と言う。「T3はLCC(格安航空会社)のターミナルで、お金持ちは乗らないのでは?」と疑問に思う人が多いかもしれない。

実はAさんを含め、訪日中国人の高付加価値旅行者はLCCを好むのである。しかし、日本では、「お金がないからLCCに乗る」という固定観念がなぜかずっとあるようだ。筆者は2017年にも日本生活者のデータを分析し、「リテラシーが高い人ほど賢くサービス(LCC)を選ぶ」を発表しているが、海外の観光客においても同様と言える。

例えばAさんはLCCを利用する理由として「日本の地方にも行くのでLCCのほうが安い。日本に行ってから、香港や韓国に行って知り合いと会ったりするが、この距離だったらLCCで十分行ける。数時間の飛行機にお金をかけるより、(そのお金を)航空のターミナルで買い物したり食べたりするほうが楽しい」と述べている。

実は高付加価値旅行者がLCCを利用するのはごく普通のことなのである。筆者がインタビューしたほかの中国人もこうした傾向がある。飛行機代が安ければ旅行と消費する意欲が高まり、飛行機代が高くなると心理的に財布のひもをきつくしたくなる。従って、LCCや安い航空券は実は消費のトリガーになっていると考えられる。

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