中国のお金持ち旅行者が感じる「日本の残念な点」 富裕層はLCCを使わないという大いなる勘違い
このカップルはコロナ後の初の長期旅行を日本にした。その理由を聞くと、「京都の穴場スポットでお花見を見たい」「日本料理の教室に3日間通いたい」「大阪のWホテルとふふ京都に泊まりたい」と真っ先に挙げた。「円安だから来たいわけではないんですね?」と念のため聞くと、「そうだね、安いのは嬉しいけど、やはり『日本』に行きたいから」と答えた。
これこそ中国人が日本に行きたい理由だ。「日本だから」、観光スポット、自然風景、文化的な景観、体験型イベント、食事、宿泊など、楽しめるモノ・コトがたくさんあり、それらに魅了されて足を運んでくる。
高付加価値観光客は「安売り」を求めていない
安いのはプラスαのことで、安さを求めて来日するわけではない。コロナ後の旅行は、円安だけではなく、リベンジ消費の気持ちの相乗効果や、日本でしかできない体験がもっと重視されるようになったとも考えられるのだ。
逆に言うと、「安いから日本に行きたい」と考えてしまうと、観光立国戦略において非常に危険だと言える。「日本の安売り」については別の記事で述べたいが、安さを求めるなら発展途上国のリゾートや中国国内免税店でも済ませられる。高付加価値旅行者に対し、日本はそれを売りにしてはいけない。
「お金持ちはLCCに乗らない」「円安であればインバウンドは安泰」のような勘違いはインバウンドをはじめ、海外の消費者を対象としたビジネスにおいて多々ある。これはビジネスにおいてもったいないことである。
インバウンドは長期的に行うビジネスであるため、長期的な観点から継続的な「顧客理解」が必須である。メディアの論調を安易に鵜吞みにせず、わが社のものを買ってほしい、われわれのところに来てほしい「顧客」は誰なのか、彼らのニーズを満たせるために何ができるかを今一度再確認すべきだろう。
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