5類と円安で加速「オーバーツーリズムの脅威」 SDGsは適切に行えば「コスト削減」につながる

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次は、「観光消費額の拡大」について見ていこう。生産性の問題が指摘され続けてきた日本の旅行・観光業界において、客単価を上げることが重要であるのは間違いない。だが、その一方で宿や旅行商品が高額になりすぎると、今まで利用していた日本人旅行者が利用しづらくなるという懸念があり、それが今、現実化しつつある。

ここで頭の中を整理しておくと、ホテル・旅館に関して言えば、富裕層を狙って施設やサービスをアップグレードし、料金を上げるという戦略は(反対意見はあるかもしれないが)ありであろう。もともと、日本は富裕層向けの部屋が足りていないと指摘されてきたのである。問題なのは、施設やサービスはそのままなのに、半年前に2万円だった客室をインバウンドが回復した今、4万円で出しているようなホテルである。サービスの向上を伴わない値上げは、長期的に見て、ファンの離反を招くのは間違いない。

値上げせずに客単価を上げる方法

では、インバウンドにも日本人旅行者にも納得されつつ、消費額を拡大させる戦略として、どのようなことが考えられるだろうか。この点、村山氏は「値上げと客単価を上げることはイコールではない」とし、以下のような方法があると提言する。

「値上げせずに客単価を上げる方法を、まずは徹底的に考えることを提案したい。例えば、松・竹・梅と複数の宿泊プランを用意し、松のプランにはアクティビティーやお土産が付いてくるというやり方がある。その内容が日本らしいものであれば、インバウンドに喜ばれるだろうし、インバウンド向けアクティビティーには、通訳兼ガイドを付けるので、その分の料金を頂くということであれば自然な話なので、高価格のオプションであっても受け入れられやすい。また、連泊を促進することも客単価アップにつながる。連泊してもらうことでホテル内だけでなく地元にもお金が落ちる。宿泊日数が長くなるほど料金を安くしていくようなプランを提供すれば、連泊してくれるお客様も増えるはずだ」

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