5類と円安で加速「オーバーツーリズムの脅威」 SDGsは適切に行えば「コスト削減」につながる

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この大洲市での動きは、地域の持続可能な観光の取り組みを評価する国際認証団体「グリーン・デスティネーションズ」によって、今年3月、年1回開かれる同団体のセレモニーで世界1位に選ばれ、ニュースになった。

自主財源の確保はどれくらい必要か

大洲市の取り組みは、地方におけるサステナブルツーリズムの取り組みの方向性を示す好例である。ただし、各地のDMOやDMC(観光地経営会社)等は予算が限られており、初期投資のことなども考えると、同様の取り組みをすぐにどこでもできるわけではない。

では、安定財源を確保するためのアプローチとして、ほかにどのような事例があるかと村山氏に尋ねると、自主財源の確保ということについて、世間に誤解があるように思うので、その点を先に説明したいという。

改修前(上)と改修後(下)の大洲市の古民家。外観の趣は残しながらも、ホテルとして心地よく滞在できるよう整備した(写真:キタ・マネジメント)

「遊覧ボートや各施設の指定管理などで自主財源100%を達成している宮崎県の高千穂町観光協会のような例はあるものの、じつはまれだ。最近、『稼ぐDMO』ということが盛んに言われているが、世界の有名なDMOを見回しても、自主財源100%というところはほとんどなく、自主財源、補助金、会費が3分の1ずつといった例が多い。とはいえ、人口減少で地域の財源も少なくなる中、稼ぐ力を高めなければならないことは間違いない。成功例を挙げると、岩手県の釜石市や平泉町では、ふるさと納税の事務局機能を行政からDMO/DMCに委譲し、その手数料収入が安定財源になっている。このパターンは最近、増えつつある」

さらに、より積極的な取り組みを行っている例として、宮城県の気仙沼市を挙げる。

「『気仙沼クルーカード』という、気仙沼市の飲食店、物産店、宿などの加盟店(実店舗+ネットショップ)で買い物をするとポイントが貯まったり、使ったりすることができるスキームを構築している。現在、参加店舗数が約130店、会員数は約4万8000人にも上っており、その手数料収入がDMOの財源の1つになっている。同カードは、CRM(顧客関係管理)の観点における効果も大きい。会員の6~7割が気仙沼を中心とする宮城県民だが、気仙沼出身で他所に住んでいる人や、気仙沼を訪れてファンになった人なども多い。こうした人たちの過去の購買データから特性を抽出し、マーケティングにも活用している」(村山氏)

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