働き方が「先祖返り」?会社と社員が折り合う方法 対面の会議と社内イベントは必須なのか?

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ただ、アフターコロナで出社を義務化。朝礼は復活させたいと営業部長クラスは考えて、その方針を発表。すると、現場の営業担当から、

「朝礼が必要な理由を合理的に説明してください」

という質問が出ました。

説明を求めて、合理的な説明でなければ、さらに説明を求める。周囲を巻き込んで大問題になる可能性があります。ゆえに「前からやっているから」とか「必要だと思うから」といった感情的、前例主義的な回答では許されません。

方針として押し通そうと考えていた部長クラスには的確な回答の準備がないため、その広告代理店では人事部に泣きついて策を考えている最中とのことでした。

社内イベントであれば、コロナ前まで開催されていた歓送迎会やバーベキューなどの企画。こうした企画に関しても3年ぶりに開催しよう……といった発想で実施を検討していることがわかると、説明を求める声があがってきました。

しかも説明を求めてきたのは20代のZ世代と思いきや、30代の中堅社員たちでした。これまで率先して企画を盛り上げてきた世代が、コロナでリモートワークをし、家族との時間を過ごしてきたことで、イベントの意義について説明を求めてきたのです。

前述したように、説明を求めるということの裏にあるメッセージは、「合理性がないならやめてほしい」ということです。

ただ、会社で会議や社内イベントを推進したい人がゼロではないのも、事態を厄介にします。ただ、開催する理由の説明を求められたら、どうしていいのか返答に困ってしまうでしょう。何となくいいねと思っているだけではダメ。ならば、どのような説明が必要なのでしょうか?

企業は社員が望むワークスタイルを考えているか

そもそも、多くの企業で就業規則には勤務時間と勤務地が指定されています。それが、コロナで緊急避難的にオンライン活用した在宅勤務が容認されてきました。社員は会社が指定した勤務地で働くことが本来的には義務であるといえます。ゆえにアフターコロナで出社することに対して「必然」と考えるのは間違ってはいないのです。

企業経営者のSさんは私生活を重視する社員の意向を汲むだけでは企業の成長は鈍化するのではないか? 成長が鈍化すれば、社員に還元できる報酬のプールも増えない。出社を機会に復活すべき会議や社内イベントもあるのではないか?と話してくれました。同様の考えを持つ経営幹部は少なくないかもしれません。

ただ、社員には会社を選ぶ権利があります。自分たちが望む働き方が出来ないのであれば転職すると判断する人が出てくる可能性があります。そのため企業は社員が説明を求める裏で望んでいるワークスタイルについて前向きに考える必要があります。

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