パチンコ店が「インドアゴルフ場」に参入の勝算 屋外練習場は31カ所減も、インドアは57カ所増

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パチンコ人口もゴルフ人口同様に、近年は減少傾向にある。レジャー白書によると、2021年のパチンコ参加人口は720万人で、ピーク時の4分の1ほどになっている。警察庁の発表資料によると、店舗数も2022年は7665店で、前年より800店ほど減少しており、業界も回復に力を入れている。

この新練習場でもう1つ、新しい取り組みとなるのが運転免許返納者へ「運転免許返納者限定特典」だ。これは、鈴木氏の実体験に基づいているという。

「82歳の父はゴルフ好きなのですが、池袋の暴走事故(2019年)があり、すぐに免許返納を勧めて返納させました。しかし郊外の練習場に車で行けなくなり、ラウンドも減って元気がなくなってきたと感じました。そこで、近くのインドアの練習場の入会手続きをしたら元気になってきて、免許を返納したゴルフ好きの方の需要があるかもしれないと思いました」

高齢者のリタイア防止が課題

運転免許返納者には、運転経歴証明書を提示すれば入会金(通常1万1000円)を無料、初月会費50%オフの特典を付けた。リーブルは24時間営業(レッスンは時間あり)で、料金はベーシック会員が月9900円で1日1枠(打席)の予約ができる。免許返納などで外出の機会が減ると、加齢によって心身が衰えていくフレイル状態に陥るリスクが高まってくるが、毎日行けば1日330円ほどで汗を流せる。

4月1日から会員の受付を開始。オープン3日前の段階で予想を大幅に上回る130人以上の申し込みがあった。その中にまだ返納者からの申し出がないのは残念だが、ゴルフ界にとって重要な取り組みだ。

というのも、ゴルフ業界では、団塊世代全員が2025年に75歳、また2030年に80歳になる「2025年問題」「2030年問題」があり、若年層のゴルフへの取り込みと共に、高齢者のリタイア防止が大きな課題になっている。

若年層のゴルフ参入への壁として、車離れを背景に、ゴルフ練習場、ゴルフ場への「足」がないという問題がこれまでも指摘されていた。免許返納後の高齢者の「足」問題も今後は出てくる。

ゴルフ業界で先鞭をつけて、最寄駅からの送迎などでゴルフ場や練習場に自力でいけるような方法を考えていくことも必要になってくるだろう。「免許返納者限定送迎」なども近い将来できるのだろうか。

ゴルフ界にとって、異業種の参入は何かのヒントになるかもしれない。

赤坂 厚 スポーツライター

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あかさか あつし / Atsushi Akasaka

1982年日刊スポーツ新聞社に入社し、同年からゴルフを担当。AON全盛期、岡本綾子のアメリカ女子ツアーなどを取材。カルガリー冬季五輪、プロ野球巨人、バルセロナ五輪、大相撲などを担当後、社会部でオウム事件などを取材。文化社会部、スポーツ部、東北支社でデスク、2012年に同新聞社を退社。著書に『ゴルフが消える日 至高のスポーツは「贅沢」「接待」から脱却できるか』(中央公論新社)。

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