住民避難と避難区域への立ち入り規制で配達業務に制約、郵便事業会社いわき支店の現場を訪ねる


 集配業務ができない地域宛ての郵便物は、いわき支店に保管されている。住民から自身宛ての郵便物確認の連絡を受けると、有無を調べて預かっている場合には、来店を要請している。同支店業務企画室の千葉芳裕室長は、「誠に申し訳ないことです」と悲痛な面持ちで話す。

千葉さんらが困っていることはそれだけではない。原発事故の影響で、市内避難所への避難、さらには市外への避難という住民の動きが広く起きているため、配達したくても、居場所の把握が困難になりつつある。配達に訪問しても、誰も住んでいなかった、あるいは家そのものが全壊してなくなっていた、という事態も少なくない。

郵便事業会社は、そうした避難者に対して「郵便事業 お客さま確認シート」を導入。自宅から移転したり、避難所から他所に移転したりする場合、新たな住所を記入してもらうようにしている。そこで、職員たちが各避難所を訪問し、郵便物の転送先住所、あるいは当面の間、自身の郵便物を届けてほしい親戚、知人などの住所を同シートに記入するよう、要請する日々が続いている。それでも、同支店には、配達できない郵便物が増え続けているのが実情だ。 

「一刻も早く、原発問題を解決してほしい。そうでないと、配達ができない」--。千葉さんのみならず、原発事故の影響を受ける福島県内で配達業務に従事する郵便事業会社職員たちは、みなそう願っている。
(浪川 攻 =東洋経済オンライン)

政治・経済の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 新型コロナ、長期戦の混沌
  • ボクらは「貧困強制社会」を生きている
  • 若者のための経済学
  • 不安な時代、不機嫌な人々
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
徹底検証「都心vs.郊外」<br>激動 マンション・住宅

在宅勤務の長期化を受け新しい住まいへの需要が急膨張。想定外の事態に供給業者も対応に追われています。2度目の緊急事態宣言発出という状況下、住宅市場はどう変わるのでしょうか。最前線での取り組みを徹底取材しました。

東洋経済education×ICT