コンビニ3社が「生活用品」強化に奔走する舞台裏 コロナ禍で生まれた新たな需要獲得に動く

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ダイソーの商品は、セブンの商品の空白地帯を埋める存在にもなった。従来の生活用品のPBは松竹梅で表したときの「竹」、ミドルクラスのものが多かった。一方でダイソーの商品は「梅」にあたる位置づけだ。

ただ、導入の際は慎重を期したという。試験販売を1年以上実施。最大で棚5つを使用する形式も試したというが、現在は棚1~2つを使用して展開している。

ダイソーの商品を陳列するセブン店頭の様子。オーナーからも「お客さんに喜ばれる」と好意的な評価が聞かれる(写真:セブン&アイ・ホールディングス)

ローソンで展開する無印良品とは売れ筋商品も異なる。「除菌用のシートなど消耗頻度が高く、食品と買い合わせのしやすい商品がよく売れている」(片岡シニアマーチャンダイザー)。

セブンは現在、同じセブン&アイ・ホールディングス傘下のロフトの商品も取り扱う実験を進めている。こちらは「松」にあたる高付加価値商品が軸。現在は約360店舗で展開している。今後はこうした外部商品の導入に併せて併せて、セブンプレミアムを強化していく方針だ。

国内での再成長を描けるのか

国内市場の飽和が指摘されるコンビニ業界。2017年には5万5000店に到達した業界の店舗数はその後伸び悩み、現在も5万6000店舗を超えられない状態が続いている。

その中で成長するには、1店舗あたりの売り上げを伸ばすしかない。コンビニは革新的な商品やサービスを取り込むことで成長を続けてきた。ただ、2012年頃にヒットしたコーヒー以来、近年はヒットカテゴリーが出ていない実態もある。

コロナ禍で新しい消費行動が生まれる中、生活用品は商品開発が比較的手薄なカテゴリーだった。つまり、生活用品がコンビニにとっての伸びしろになり得るわけだ。コンビニ大手3社が揃って強化に動く背景には、こうした事情がある。

新しい需要を定着させることはできるか。国内での今後の成長を占う1つの試金石となりそうだ。

中野 大樹 東洋経済 記者

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なかの たいじゅ / Taiju Nakano

大阪府出身。早稲田大学法学部卒。副専攻として同大学でジャーナリズムを修了。学生時代リユース業界専門新聞の「リサイクル通信」・地域メディアの「高田馬場新聞」で、リユース業界や地域の居酒屋を取材。無人島研究会に所属していた。趣味は飲み歩きと読書、アウトドア、離島。コンビニ業界を担当。

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