コンビニ3社が「生活用品」強化に奔走する舞台裏 コロナ禍で生まれた新たな需要獲得に動く
「これいいね」――。ビジネスマン風の30代くらいの男性2人組はそういうと、カーディガンを手に取ってまじまじと観察している。
アパレル店での光景ではない。都内のファミリーマートでの一幕だ。ファミマは「Convenience Wear」と名付けた独自のアパレル商品を展開している。コンビニでも陳列できるように、コンパクトな包装に詰められているのが特徴。
2021年3月の投入時にヒットしたのは、緑と青のファミマカラーなどをあしらったラインソックス(税込み429円)だった。現在は、Tシャツやカーディガン(都内一部店舗での取り扱い)、ハーフパンツなどまでラインナップは広がっている。
コロナ禍で生まれた日常需要
従来、コンビニにとって生活雑貨や肌着などの生活用品は、外出先での緊急需要に応える商品が中心だった。セブン-イレブン・ジャパンの青山誠一商品戦略本部長は「たとえば電池やご祝儀袋。雑貨部門ではそういうものが売れればいいと思っていた」と語る。
そうした認識に変化が起きたのは、新型コロナが大きく影響している。外出自粛が広がったことで、人の集まりがちな商業施設へ買い物に行く機会が減少。なるべく自宅近くで生活用品を購入したいとの需要が強まった。
これまでコンビニで扱われていた生活用品は、ほかに選択肢のない中で購入されることも多いため、他のカテゴリーに比べて、作り込みが十分でない商品も多かったようだ。
そんな中でファミマのコンビニエンスウェアは、「いい素材、いい技術、いいデザイン。」をブランドコンセプトにした。商品本部日用品グループの須貝健彦氏は、「衣料品は以前もあったがあくまで緊急用だった。デザイナーを起用して日常的なファッションで使えるものを作った。ベーシックなデザインから脱却できたことが大きかった」と明かす。
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