「デジタルメディア終焉」で消える媒体・残る媒体 バズフィードのニュース部門閉鎖の重い意味
オンラインジャーナリズムの拡大期に幕引きが訪れる中、バズフィードは同社の名前を冠したニュース部門「バズフィード・ニュース」を閉鎖する。一風変わったデジタル新興企業として始まり、ピューリッツァー賞を受賞するまでになったバズフィードだが、結局は同業他社を苦しめてきたデジタル出版の過酷な経済原理の餌食となった格好だ。
バズフィードはインターネットへの適応に遅れた伝統メディアに対する強力な挑戦者と見られていた時期もあるため、その終焉には重い意味がある。
バズフィード・ニュースの閉鎖はまた、ベンチャーキャピタルに支えられたデジタルメディアの時代が最終章に入ったことを示すものでもある。ベンチャーキャピタル資金を燃料とするデジタルメディア時代は、制作と消費の両面においてジャーナリズムのあり方に消えることのない痕跡を残した。
海外支局を開設、調査報道に資金投入
2012年の大統領選挙が近づく中、2011年に設立されたバズフィード・ニュースは、リスティクル(まとめ記事)とクリックを誘う見出しで硬軟織り交ぜたニュースを扱い、ソーシャルメディアで拡散させることを狙った。ジョナ・ペレッティが2006年に始めた親会社、バズフィード本体のやり方を反映させたものだった。
バズフィード・ニュースは意欲的かつ先鋭的な報道ですぐに注目を集めるようになり、海外支局を開設したり、調査報道に資金を投じたりするようになっていった。
バズフィードがぶち壊そうとしたニューヨーク・タイムズ、ウォール・ストリート・ジャーナル、ブルームバーグ・ニュースといった旧来型の報道機関には現在、バズフィード出身者が多数所属。これら既存メディアは、オンライン読者を獲得するためにバズフィードが切り開いてきた手法を数多く取り入れてきた。