「デジタルメディア終焉」で消える媒体・残る媒体 バズフィードのニュース部門閉鎖の重い意味

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ところが、ソーシャルメディアのプラットフォームが集めた膨大なオーディエンスがもたらす価値のほとんどを取り込んだのは、メタ(フェイスブック)、アルファベット(グーグル)、バイトダンスといった超大手テクノロジー企業であり、バズフィード・ニュースが期待した利益は実現しなかった。デジタルメディアの収益柱となるデジタル広告は、若い消費者へのリーチを求めてインスタグラムやティックトックに向かう傾向が強まっている。

「メディア使い捨ての時代」

デジタルメディア企業スキフトの創業者兼CEOラファト・アリは、バズフィードニュースの終焉は、複数の収益源を開発しなければ報道機関が廃れてしまうリスクがあることを強烈に思い起こさせた、と指摘する。

「今は、メディアが使い捨てにされる時代だ」とアリ。「トレンドに基づいてビジネスを構築しても、そのトレンド——今回のケースはソーシャルメディアでシェアすることだが——が終わると、ビジネスも終わりを迎えることになる」。

ペレッティは従業員に宛てたメッセージで、ニュース部門に「過剰投資する決断」をしてきたのは同部門が生み出す仕事を愛していたからだとする一方で、バズフィード・ニュースが黒字を出すのに不可欠な経済的支援をソーシャルメディアのプラットフォームが提供しないという現実を受け入れるのが遅れた、と認めた。

バズフィードは2020年にデジタルメディアのもうひとつの先駆者であるハフポストを買収しており、ニュースの発信はハフポストで継続される。ペレッティは社員宛のメッセージで、ハフポストは利益が出ており、ソーシャルメディアプラットフォームへの依存度が低いと述べた。今後は「会社の業績に貢献する能力を証明できるビジネスだけで」バズフィードの事業を前進させていくという。

バズフィード・ニュースの編集長カロリーナ・ワクラウィアックは20日、従業員に宛てた電子メールで、バズフィード・ニュースは今年の黒字化に向けて歩みを進めてきたところだが、「4カ月が過ぎたところで、時間切れを宣告された」と述べた。

(執筆:Benjamin Mullin記者、Katie Robertson記者)
(C)2023 The New York Times

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