「デジタルメディア終焉」で消える媒体・残る媒体 バズフィードのニュース部門閉鎖の重い意味
だが、このような功績にもかかわらず、バズフィード・ニュースは収益を上げられなかった。デジタル広告に依存し、ソーシャルメディアの不安定なトラフィックに依存する体質では、各国で記者を雇用する多額の経費を賄うことができなかったのだ。
バズフィード・ニュースの創刊編集長で、2020年に退職しニューヨーク・タイムズのメディアコラムニストになったベン・スミスは取材に対し、「ソーシャルメディアとニュースの結婚は終わった」と語る。
バズフィードの最高経営責任者(CEO)であるペレッティは20日、ニュース部門の閉鎖は全社的に行われる人員削減の一部だと、従業員に宛てた電子メールで説明した。
ネットメディアに吹き荒れるリストラの嵐
バズフィード・ニュースを閉鎖するという今回の決断は、デジタルメディア企業が次々と経営難に直面する中で下された。バズフィード、ヴォックス・メディア、ヴァイスなどのニューメディア企業は、一時はウォルト・ディズニーやコムキャストといった業界の超大手から有望視され投資対象にもなっていたが、そうした高い評価に応えることができていない。
ヴォックスは今年1月、経済環境の不透明感を理由にスタッフの7%を解雇。何年も資金難が続いているヴァイスは今、必死に会社の買い手を探している。20日にはインサイダーがアメリカのスタッフを10%解雇すると発表し、経済の逆風が強まっていることをその理由に挙げた。
オーディエンスに記事を届ける能力でソーシャルメディアの優位性が高まっている状況に乗っかったメディア企業の1つがバズフィードだった。利益はそのうちついてくるという確信が、そこにはあった。
バズフィード・ニュースは多くの報道機関が見向きもしないオンライン上の会話に適応し、旧来型メディア企業の一部も結局は、読者の動向を執拗に追いかけるバズフィードの手法を模倣。旧来型メディアの編集者らも、チャートビートやパースリーといったアナリティクス企業がつくり上げたダッシュボードの前に張り付いて、読者の行動をモニターするようになった。