「ムダ吠えしたり、勝手に何でも食べないようにしつけるためには、大きな声で『ノー!』とはっきり言わなければいけません。それができないなら、空き缶の中に石を入れてガチャガチャと大きな音を出すなどして注意を引き、厳しめに叱ることが大事です。
叱り方さえもわからない方が犬と生活すると、お互いストレスがたまります。犬を飼うこと自体が重荷になるような残念な事態を招かないためには、仔犬のうちにパピースクールに入れて飼い方や犬の特徴、しつけ方を知ってもらうのも大事です。そういう取り組みをしている獣医さんは増えているので、困ったときは動物病院に相談したほうがいいです」
短期間で飼ったことを後悔したり捨てたりするケースも
ただ「寂しいから」「可愛いから」といった安易な自己都合で衝動的に犬を飼った人が、短期間で飼ったことを後悔したり捨てたりするケースが増えている、というデータもある(※)。
「1人暮らしをしている人が寂しくて犬を飼っても、世話をする時間やお金がないとか、散歩に行くのが面倒くさくなったといった理由で捨ててしまう人は、犬を道具として考えています。犬を飼うのは自分のためだけじゃなく、犬を幸せにするためでもある、という考えが抜け落ちているんですね。
犬を飼うときはまず、『自分は犬にとっていいパートナーになれるか?』『お互いウィン&ウィンの生活ができるか?』ということを真剣に考える必要があります。猫だったら散歩しなくていいですし、犬より手がかりませんから、少子高齢化が進む日本で犬よりも猫を飼っている人が多いのは、僕はいい傾向だと思っているくらいです」
では、犬にとっていいパートナーになれる飼い主の条件とはどういうものだろう?
「食事、散歩、遊び相手、の3つは最低限必要ですね。遊び相手をしてあげられないときは、散歩の途中で他の犬に会うことがいい刺激になります。犬は犬に惹かれますから、犬同士がコミュニケーションをとれる機会を作ってあげてください。
また、犬のしつけができていて飼い方を間違っていなくても、知らない犬や人に吠えることはあります。なぜなら、飼い主と犬が信頼関係を深めているほど愛情ホルモンのオキシトシンが分泌されるため、見知らぬ人を敵とみなすとそれが攻撃性に変わるからです。オキシトシンは敵と味方を区別するホルモンでもあり、戦争のように内集団を守り、外集団を攻撃するホルモンとも言われているので、高ければいいというわけでもないんです。
ただ、家族と一緒にいて安らぎを感じたり血圧が下がったり、不安やストレスを軽減する機能はありますから、犬も人もお互いの心身にいい影響を与えるホルモンであることは間違いありません」
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