ホンダと鈴廣かまぼこ「エネマネ」連携の意外性 「車×エネマネ」が儲かるビジネスに転じる時

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次に、実証実験の舞台を神奈川県小田原にある、かまぼこの老舗「鈴廣(すずひろ)」の本社に移す。

ここでホンダは、HSHSでの基礎実証を踏まえて、ホンダとして初めて外部企業向けの「EVを活用したエネルギーマネージメント」長期実証実験を行っている。ここで気になるのは、なぜ「かまぼこの鈴廣×ホンダ」というパートナーシップが生まれたのか、であろう。

鈴廣本社前で充電するHonda eと鈴廣のスタッフ(筆者撮影)

鈴廣の歴史は古く、江戸時代の慶応元年に4代目村田屋 鈴木権右衛門が小田原代官町で網元漁商の副業として、かまぼこ製造を始めたのがその起源だ。明治中期に6代目 鈴木廣吉が、かまぼこ製造を本業として、屋号を「鈴廣」とした。2015年に創業150周年を迎えている。

環境対応策で先を行く鈴廣

現在の本社周辺は、まるでテーマパークのような華やかさがある。鈴廣蒲鉾本店、かまぼこ博物館、さまざまなかまぼこ関連商品や小田原近隣の食品など販売する「鈴なり市場」、そして和風の食事処や自社製造のビールが楽しめるレストランなどで構成される、鈴廣「かまぼこの里」がある。

東京方面からのアクセスも良く、小田原厚木道路や西湘バイパス経由で、小田原から箱根に向かう国道1号線沿いに位置し、また箱根登山鉄道の風祭駅とかまぼこの里がほぼ直結しているため、箱根周辺観光客の人気スポットになっている。正月の恒例行事である、箱根駅伝の小田原中継所としても知られている。

そんな鈴廣は独自に「環境ステートメント」を掲げている。具体的には、かまぼこを作るときに出る魚のアラや箱根ビールの絞りかすから魚肥をつくり、その魚肥を使った農産物を鈴廣の商品とする資源環境型ビジネスを実用化している。

鈴廣の「かまぼこ博物館」(筆者撮影)

そのほか、小田原ひのきの活用、森づくり活動、そして太陽光発電と地中の熱を利用する換気システムを導入した本社でのBEMS(ビルディング・エネルギー・マネージメント・システム)など、さまざまな環境対応策を運用している。

そうした活動の中で付き合いがある小田原市を通じて、ホンダの「BEVを活用したエネルギーマネージメント」の存在を知り、2022年2月から1年計画で実証実験を始めたわけだ。Honda eを5台使い、ニチコン製の充電・給電を行うEVパワーステーションとつなぐ。

実証を担当する本田技術研究所のエンジニアは「鈴廣が持つ過去2年分のBEMSデータを提供していただいたことが、弊社のホンダ・パワーコントローラーeコンセプトの開発に大いに役立った」と既存データの重要性を指摘した。

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