ホンダと鈴廣かまぼこ「エネマネ」連携の意外性 「車×エネマネ」が儲かるビジネスに転じる時
2020年代に入り、企業の商用車や官公庁の公用車をBEV(電気自動車)に入れ替える動きが一気に進み始めた。その中で、改めて注目されている技術分野が「BEVを活用したエネルギーマネージメント」だ。
この分野は、2010年代にもスマートシティといった観点で、企業や自治体がBEVを蓄電池として使う方法の実用化を目指していたが、「絵に描いた餅」で終わった事例が少なくない。
それが今、卒FIT(そつフィット)やGX(グリーントランスフォーメーション)といった言葉が生まれ、また各種BEVの量産化が進む時代変化の中で、新しい形の「BEVを活用したエネルギーマネージメント」の必要性が高まってきたといえるだろう。
今回は、最新の「BEVを活用したエネルギーマネージメント」の実態を把握するため、ホンダがさいたま市と小田原市で行っている実証実験の現場を筆者個人として独自取材した。
キーポイントは「マネタイズ(事業としての収益化)」だ。
ホンダの実証実験は第4期、11年目へ
JR埼京線の南与野駅から、路線バスで10分ほど走ると埼玉大学の正門前に到着する。ホンダ・スマート・ホーム・システム(HSHS)の実証実験が行われている場所は、この近くだ。筆者がここを訪問するのは、約10年ぶりである。
HSHSには、外部の人が予約をして見学できる棟があるほか、ホンダ(本田技研工業/本田技術研究所)社員の家族1組が年間を通じて生活し、そのデータをもとに「BEVと家をつなぐエネルギーマネージメントシステム」の効果検証を行う住環境がある、この領域において世界的にも稀な存在である。
そもそもHSHSは、ホンダがさいたま市と2011年5月に締結した「E-KIZUNA Project」が基点になっている。
実際の都市環境下で、BEVやプラグインハイブリッド車を使った新しいビジネスモデル、地産地消の自立可能なホームコミュニティ、そして災害時での暮らしのエネルギー供給システムという3点の検討を、重点項目に定めていた。
当時のホンダは「フィットEV」を開発し、2012年8月末から自治体や企業に向けたリース販売の準備中であり、また太陽光パネルの製造販売事業者「ホンダソルテック」(後に事業停止)の事業強化を進めている段階でもあった。いずれも、新領域事業への挑戦という位置付けだ。
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