脳がフル稼働するのは「ハラハラするとき」だった 過去の経験から「安全なこと、楽なこと」を好む
「いつもと同じ」を好む脳
いきなりですが、お願いがあります。
「明日から、世界一周をしてください」
さて、あなたはどうしますか?
「仕事を急には休めない」
「そんなお金はない」
「準備が間に合いそうもない」
「どう考えても無理だろう」
さまざまな理由があると思いますが、「できない理由」を探す人が多いのではないでしょうか。
私は、2003年11月から2008年3月まで、ハーバード大学の医療機関で研究員として過ごしました。ご存じのとおり、ハーバード大学には世界トップレベルの研究者たちが集まっています。まさに、「頭の冴えた人たちの集団」といってもいいでしょう。実際に、所属していたチームの同僚や上司たちも、いつも驚くようなアイデアにあふれ、数々の実績を上げていました。
それはきっと、彼らが生まれながらにして頭脳明晰で、ずば抜けた記憶力や計算力があるからだろう。ハーバードに行くまで、私はそう思っていました。しかし、実際に彼らと接してみてわかったのは、ハーバードの研究員が大事にしているのは、「頭のよさ」ではなく、「頭の使い方」だということでした。頭の使い方とは、いったいどういうことでしょうか。
私たちが物事を考えるときは、もちろん頭で考えます。脳を使って考えるといってもいいでしょう。ところが実際、考えているとき、私たちの脳はたいてい、同じ思考回路しか使っていないことをご存じでしょうか?
これには理由があります。
脳は自分自身を守るために機能していて、危険を避けるために、過去に経験したことのなかから、安全なものや楽なものを選ぶようになっています。つまり、無意識に同じ思考回路を使って考えているということです。
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