脳がフル稼働するのは「ハラハラするとき」だった 過去の経験から「安全なこと、楽なこと」を好む

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
「いつもと同じ」を好む脳がフル稼働するには、「ハラハラ」が有効である理由を紹介します(写真:Elnur/PIXTA)
「経験がない分野に挑戦する」「短期間で終わらせなければならない」「苦手な人と同じチームになった」──。初めてのことや、慣れない環境に直面したとき、ほとんどの人は多かれ少なかれ不安になるでしょう。でも、不安を無理に打ち消す必要はなく、むしろ歓迎すべきだと、ハーバード大学の医療機関で研究員として過ごした川﨑康彦さんは言います。
なぜなら不安な感情は、ワンパターンになりがちな思考回路に変化をもたらし、柔軟で冴えた頭になるきっかけを与えてくれるものだからです。川﨑さんの著書『ハーバードの研究員が教える脳が冴える33の習慣』より、本文を一部引用・再編集してご紹介します。

「いつもと同じ」を好む脳

いきなりですが、お願いがあります。

「明日から、世界一周をしてください」

さて、あなたはどうしますか?

「仕事を急には休めない」

「そんなお金はない」

「準備が間に合いそうもない」

「どう考えても無理だろう」

さまざまな理由があると思いますが、「できない理由」を探す人が多いのではないでしょうか。

私は、2003年11月から2008年3月まで、ハーバード大学の医療機関で研究員として過ごしました。ご存じのとおり、ハーバード大学には世界トップレベルの研究者たちが集まっています。まさに、「頭の冴えた人たちの集団」といってもいいでしょう。実際に、所属していたチームの同僚や上司たちも、いつも驚くようなアイデアにあふれ、数々の実績を上げていました。

それはきっと、彼らが生まれながらにして頭脳明晰で、ずば抜けた記憶力や計算力があるからだろう。ハーバードに行くまで、私はそう思っていました。しかし、実際に彼らと接してみてわかったのは、ハーバードの研究員が大事にしているのは、「頭のよさ」ではなく、「頭の使い方」だということでした。頭の使い方とは、いったいどういうことでしょうか。

私たちが物事を考えるときは、もちろん頭で考えます。脳を使って考えるといってもいいでしょう。ところが実際、考えているとき、私たちの脳はたいてい、同じ思考回路しか使っていないことをご存じでしょうか?

これには理由があります。

脳は自分自身を守るために機能していて、危険を避けるために、過去に経験したことのなかから、安全なものや楽なものを選ぶようになっています。つまり、無意識に同じ思考回路を使って考えているということです。

次ページ同じ思考回路を使うデメリット、思考回路を簡単に変える方法
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事