面白いことに、「読者にとって役に立ちそうなこと」を考えてみると、それがそのまま「この人に聞いたら面白そうなこと」につながります。つまらないことを聞いても、読者は喜ばないからです。
そうすると、自然と質問が浮かんできて、相手に楽しく話してもらえるようになっていきます。
たとえば、初対面の人と仕事の話になったとしましょう。勤め先を聞いて、「不動産会社で働いています」と言われたとき、普段のわたしとインタビューモードのわたしとでは、感じ方はこんなに違います。
普段のわたし
「不動産会社で働いてるんだ。へぇー(会話終了)」
インタビューモードのわたし
「この人の話を記事にするとしたら、読者は……」
・これから不動産を買う人
・これから不動産会社に勤めたい人
・不動産にまつわるおもしろエピソードが聞きたい人
「それなら質問は……」
・◯◯さんはどうして不動産会社で働こうと思ったんですか?
・「ここは住みやすそうだなぁ」と思った場所はどこでしたか?
・不動産選びでとくに重視したほうがいいポイントはなんですか?
・◯◯さんは家は買う派ですか? それとも賃貸派ですか?
・いわゆる「ヤバい物件」ってどんな物件なんですか?
というように、自分自身はまっっっっったく不動産に興味がなくても、読者が知りたそうなこと」を考えてみると、客観的な質問が思い浮かぶようになるんですね。
「自分の興味」は後回し
べつに自分自身にとって役に立つ内容でなくても、会話の中身は満たされていくのです。自分自身が興味を抱けなさそうな人と話すときは、「自分自身」はとりあえずどこかに放っておいてみましょう。
「この人の話が聞きたそうな人は誰だろう?」「その人にとって役に立ちそうなことはなんだろう?」と、俯瞰して考えてみる。これをまずは覚えておいてください。
とはいえ、皆さんはインタビューライターではないので、「読者が知りたそうなことって、なんやねん」と思うことでしょう。
わたしもインタビューライターになりたてのころはそうでした。読者が知りたいことなんぞわからないから、ぜんぶ自分の悩みから企画を考えていたのです。はじめに出した企画は、いまでも覚えています。
「歳を取りたくないから、時間の延ばし方が知りたい」
「怖がらずにホラー映画を観るための対処法が知りたい」
「怖がらずにジェットコースターに乗る方法が知りたい」
採用されたのは、「時間の延ばし方」と「ホラー映画の対処法」で、よく読まれたのは「時間の延ばし方」のほうでした。おそらく世間的には「怖がらずにホラー映画を観たい」という人よりも、「時間をゆっくり進めたい」という人のほうが多かったからなのだと思います。
「一般的な感覚」がものすごく大事なのだと、当時所属していたメディアの編集長に教えてもらいました。「一般的な感覚」を持っている人は、一般の人にウケるコンテンツを作ることができます。
でも、たとえば笑いのツボが変なところにある人は、「面白い!」と思うことが一般の人とズレるので、他者と共有できなかったりします。
そしてたぶん、わたしはズレている。「面白い!」と感じることが極端に少ないんです。だから、自分が「面白い!」「知りたい!」と感じることから企画を立てようとすると、他人にとってはあまり面白くないテーマになってしまいます。
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