だからわたしは、主語を「自分」から「みんな」に変えて考えました。そうすると、「自分はどうでもいいけど、みんなは知りたいかもしれない」と、一般的な感覚で「聞く」ことができるようになったのです。
たとえば、自分がまったく興味のない「ガーデニング」の話をされた場合。こんな質問が浮かんできます。
「(自分はどうでもいいけど)なぜガーデニングをはじめたんですか?」
「(自分はどうでもいいけど)なにを育てているんですか?」
「(自分はどうでもいいけど)なぜガーデニングにハマる人は多いんですか?」
自分と変に絡めなくていい。無理に共通項を見つけなくてもいい。その考え方は、「おそろしく他人に興味がない民たち」にとっては、とてもラクな考え方だと思います。
はじめに「職業」や「趣味」など、断片的な情報が揃ったら、「自分はさておき、みんなが知りたそうなことを聞く」と決めて、会話してみてください。
知り合いの代わりに相談者に
「みんな」を主語にしても「聞きたいこと」が思い浮かばない場合、実在する「知り合い」を引き合いに出すのもオススメです。ここでもポイントは、「自分自身」を主語に持ってこないことです。
インタビューライターの仕事の場合、記事を出すメディアに応じて、「想定読者」が明確に決まっていることがほとんどです。「キャリアにモヤモヤを抱えている20代の若者」や「ていねいな暮らしを楽しむ30代の女性」などです。
でも実際のわたしは、べつにキャリアにモヤモヤを抱えているわけでもないし、ていねいな暮らしを楽しんでいるわけでもありません。だからこそインタビュー中は、読者に向けてお話をしてもらうように促します。
「母がアンチエイジングに良さそうな化粧品を探している」
「友人が転職をするかどうか悩んでいる」
「弟が長野に旅行に行く予定がある」
「後輩がボランティアに興味を持っている」
など、身近な人のトピックから「聞く」ことを探してみるのです。母から「化粧品を探しておいてね」と頼まれたわけじゃなくても、後輩から「ボランティアに関する情報を集めておいてください」と言われたわけじゃなくても、インタビュー相手がそれらの答えを持ってそうなのであれば、それをネタにして「聞く」ことをします。
会話の相手が、自分の知り合いの悩みに答えるのに適任だと感じたら、勝手に相談者になってみるんです。そうすると、自分は聞きたいことがなくても、相手からうまく話を引き出すことができます。
おまけに、相手も得意なことで相談に乗れて、気持ちがよくなります。さらには、「美容に詳しそうな人がいたから、アンチエイジングに良さそうな化粧品を聞いてみたよ」「この前、人材会社の人と話す機会があったから、いまの転職市場の情報を仕入れたよ」と、引き出した情報をその知り合いにシェアするのもオススメです。
「自分のことを考えてくれていたんだなぁ」と喜んでもらえて、「三方よし」な状態をつくれます。ただし、第三者に知り合いのことをあまりに詳しくベラベラと話すと信用をなくすので、脚色を加えながら相談を持ちかけましょう。
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