憂鬱な人は「ストレスが役に立つ」ことを知らない 臨床心理士が説く「プレッシャー」の上手な活用法

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ストレスが強い状況では、心の視野だけでなく、実際の視野も狭くなりがちだ。最も重要な要求に集中するためにそうなると言われている。しかし、ストレスに圧倒されそうな場合でも、体の高パフォーマンスを維持しながら心を落ち着かせることはできる。

研究によると、その方法の1つは、より広い視野を持つことだ。もっとも、それは頭を動かして周囲を見回すという意味ではなく、単に視野を広げてより多くのものを見るようにするという意味だ。

視覚システムは自律神経システムの一部なので、視野を広げることで、ストレスや覚醒に関連する脳の回路につながることができる。アンドリュー・ヒューバーマンは、これは脳が活性化した状態でより快適に過ごすための強力な方法だと述べている(2021)。

わたしたちはストレス反応が止まることを望んでいない。なぜならそれは、プレッシャーが強い状況を乗り切るために欠かせないからだ。望むのは、ストレス耐性を高めて、心が強いストレスに耐えられるようにすることだ。

失敗の認識を変える

当然ながら、失敗が多大な影響を及ぼすと思うと、強いプレッシャーがかかる。失敗が大きな脅威と見なされるとき、脳はその脅威に焦点を当て、確実に回避しようとする。大小にかかわらず失敗すると自分を責めがちな人は、失敗する可能性があるだけでストレス反応に拍車がかかる。

わたしたちの注意力には限界があり、ストレスがかかる状況で何らかのタスクをうまくこなすには、注意のスポットライトを完全にコントロールし、必要なことに集中しなければならない。失敗を恐れる気持ちや、さらに悪い展開への心配を克服するには、タスクのプロセスに焦点を絞り、思い悩む余地を残さないようにする必要がある。

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