イオンが身構える「PB生産者表示」の衝撃 「トップバリュ」など大手PBの実態が明るみに

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公平に付け加えておけば、統計上は、必ずしも中国からの輸入食品だけが悪くはない。また、もちろん「おお。こんな有名なメーカーが作っていたのか」と売り上げ増につながる好材料を与える可能性もあるだろう。それにオープン化によってコンビニと同じく好感を持つ人たちも出てくるかもしれない。それでも、やはり消費者が抵抗感をもつ国々からの輸入食品が大半であれば、トータルでは好影響とは言えないはずだ。

次に販売者サイドからみると、そのように消費者が回避しようとする中小ならびに外国メーカーを中長期的には避ける傾向になるだろう。そうしたとき、もしかすると、中小メーカーに小売業者が資本注入し、名実ともに経営統合してしまうかもしれない。法規制をきっかけとし、スーパーをめぐる企業が再編成する可能性があるし、これまで無尽蔵に増え続けたPB商品が縮小する動きになるだろう。

良き側面も忘れてはならない

同時に今回、生産者の表示基準が変更することでよい面も忘れてはならない。現在はスーパー間の価格低減競争があまりにも激しい。つねに「3割引」「半額」と大文字のPOPが並ぶものの、それは景品表示法違反ではないかとつねに疑われてきた。スーパーは割引販売の麻薬に取りつかれ、価格を下げる手法で消費者をつなぎとめてきた。

製造・販売ともにギリギリのオペレーションを繰り返した結果に起きてしまったのがアクリフーズなどの事件だったのではないか。小売店としては安さだけを追求するのも一手ではあるものの、今の消費者は透明性も求めている。また、食品の製造者を表示しようが表示しまいが企業戦略が変わってよいはずはない、とクールな意見もありうるだろう。ただし、ここでいったん立ち止まって、あるべき価格水準に戻す選択肢もありうるだろう。

少なくとも生産者を表示していく方向性は、PB商品市場とそれを展開する大手小売業者の戦略になんらかの軌道修正を迫っていくのは間違いない。

坂口 孝則 未来調達研究所

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さかぐち・たかのり / Takanori Sakaguchi

大阪大学経済学部卒。電機メーカーや自動車メーカーで調達・購買業務に従事。調達・購買業務コンサルタント、研修講師、講演家。製品原価・コスト分野の分析が専門。代表的な著作に「調達・購買の教科書」「調達力・購買力の基礎を身につける本」(日刊工業新聞社)、「営業と詐欺のあいだ」(幻冬舎)等がある。最新著は「買い負ける日本」(幻冬舎)。

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