長期化するリビア内戦、殉教を選ぶカダフィ大佐


 米国のリビアへの態度は毅然としたものではない。が、西側世界がリビアの反政権側に立って軍事介入したことで、反政権側が優勢となった。カダフィ大佐がルーマニアのチャウシェスク大統領やイラクのサダム・フセイン大統領と同じ最期をたどることは間違いない。だが、「そこまで行くには時間がかかり、内戦が長引くことが懸念される」と塩尻氏は予測する。リビア情勢はしばらく、欧米の主要メディアでニュースのヘッドラインを飾ることになる。

内戦は長期化のおそれ

チュニジアから始まったジャスミン革命。波及したエジプトでも短期間で独裁者が退陣した。ところがカダフィ政権は短期間で倒れなかった。ベンガジで反体制デモが始まり、キレナイカ各地に波及したのが11年2月15日。デモが始まった当初から、カダフィ大佐とその後継者と目される二男セイフ・アル・イスラム氏は「われわれは最後まで戦う。敵を倒すことに容赦しない」という声明を出し、その言葉どおり流血の内戦になっている。

エジプトのムバラク前政権がわずか20日間足らずで崩壊したことに比べると著しい対照をなす。

何が違うのか。1980年代以降世界各地で民族解放運動やテロ活動を支援したカダフィ大佐を「アラブの狂犬」と呼んだのが、レーガン元米国大統領だ。86年にはカダフィ大佐を殺害する目的でカダフィ大佐邸をピンポイントで空爆している。その報復として、カダフィ大佐は88年にスコットランド上空でパンナム機を爆破する。この事件では270人が犠牲になった。

だが、カダフィ大佐をじかに知る塩尻氏は、「アラブの狂犬」という言葉が与える人物像を否定する。「革命の指導者というカリスマ性を持ち、側近を掌握し、用意周到で鋭い洞察力がある人物」という。そのうえで、「カダフィ大佐が軍のコアをカリスマ性で掌握したことが、ムバラクとの大きな違い」と指摘する。

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