仕事が速い人はパソコンより「紙」を使う理由 脳に記憶が定着する3つの「ノート・メモ術」

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なお、講師の発言に対して「手書きでメモ」と「パソコンでメモ」した場合の比較実験では、明らかな違いが確認されています。

手書きの場合は、講師の発言とは異なる「自分の言葉」でメモされました。一方でパソコンの場合は、セリフどおりにメモされました。

これは、タイピング作業による脳への負担が大きく、言葉を変換している余裕がないからだと考えられています。

・ページの隅に「保留箱」欄をつくる

あれこれ書きすぎて、後から見返したら「なんじゃこりゃ……」。

そんな人は、すぐ必要でない情報や、なんとなく書いておきたいことが頭に浮かんだら、ページの隅に「保留箱」のスペースを用意して書き入れましょう。

ノートという空間の中で、手を「保留箱」まで移動して書く動作は、「保留箱までテクテク歩いて情報を置いた」というエピソードになって脳に残ります。そのおかげで、その情報がふいに必要になったときも、脳が自動的に「あの情報は保留箱に入れたな!」と反応して探し出してくれます。

ほかにも、

・「頭の中のつぶやきごと」を書く(独り言もメモしておく)

・「記憶に残るタイトル」を付ける(ページの最初に入れるタイトルをエピソード記憶にする)

など、「自分の言葉」に変換するノート・メモ術はさまざまにあります。

②思わず見返したくなる「視覚化」術

ノートに文字がびっしりで、後で見返す気にならない……。

そんな人におすすめのノート・メモ術を2つ紹介しましょう。

・擬人化、キャラ化する

手っ取り早くエピソード記憶化できるのが、「情報の擬人化」です。

たとえば、糖質、脂質、たんぱく質の特徴を覚えるならば、「すぐに熱くなって飽きやすい糖質くん」「やる気になるのは遅いけど、やり始めたら長続きする脂質さん」「脂質さんをやる気にさせるたんぱく質ちゃん」といった感じです。

イラストを描き込むことで忘れにくくなることも、研究で明らかになっていますし、絵が苦手でも、簡単なマークや表情を表すアイコンをつけておくだけで、情報に「エピソード」を付与することができます。

・思考ツールを使い、情報をつなげる

情報の関連づけをするには、線で結んだり、〇で囲むなど図式化したりするのが効果的。情報を図式化した「コンセプトマップ」ができたら、「それがなにに見えるか」を自分なりに考え、それを書き足してみましょう。

アメ、魚、フルーツ……自分のイメージを書き込めば、それに関連したエピソードが脳内でつながり、より記憶に定着しやすくなります。

次ページ2つの情報処理の「型」に適した書き方、覚え方を紹介
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