《プロに聞く!人事労務Q&A》感染症にかかった社員に出社停止を命令した場合、給与の支払いはどうすればいいですか?
●感染症法の規定について
感染症法第18条では、(1)一類感染症の患者、(2)二類感染症の患者、(3)三類感染症の患者、(4)新型インフルエンザ等感染症の患者、(5)無症状病原体保有者(一類から三類)については、感染症ごとに厚生労働省令で定める業務に、そのおそれがなくなるまでの期間として感染症ごとに厚生労働省令で定める期間従事してはならないとしています。
感染症法によって就業制限を行う場合は、都道府県知事名で患者(無症状病原体保有者含む)またはその保護者宛に書面によって通知されることになっています。その通知に従い、就業制限することになります。
この場合も給与の支払いは不要です。
一類感染症は、エボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、痘瘡、ペスト他、二類感染症は、急性灰白髄炎、結核、鳥インフルエンザ(H5N1)他、三類感染症は、コレラ、腸チフス、細菌性赤痢他が該当します。
無症状病原体保有者は、保健所などが行う疫学調査や健康診断などにより確認された場合です。
●安衛法や感染症法に該当しない感染症等による出社停止命令について
労働契約法第5条では、会社に安全配慮義務を求めています。感染症にかかった社員が出社することによって、他の社員に感染し業務ができないということでは、会社は、安全配慮義務を怠ったということにもなりかねません。
そこで、感染症にかかった社員を休業させるためには、就業規則において、どういう状況になった場合、会社はその社員を休ませることができるかを規定しておく必要があります。
この場合、会社の都合で休ませることになりますので、労働基準法上の休業手当(平均賃金の60%)を支払う必要があります。
なお、本人が自主的に休む場合は、休業手当の支払いも不要です。
東京都社会保険労務士会所属。法政大学法学部法律学科卒業。東映CM入社。TV-CMの製作進行、プロダクションマネージャーとしてTV-CMの企画・製作を担当。その後、ファッション雑誌編集者を経て、1995年に鈴木社会保険労務士事務所を開設。著書に「どうなるの?わたしたちの労働環境」、「得する年金損する年金 図解新年金制度」など。
(東洋経済HRオンライン編集部)
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