リーダーに大切な「繰り返し、何度も伝える」姿勢 テニスとシリコンバレーで学んだチーム運営法
話しかたと話の内容を調整しながら、エネルギーのギブ・アンド・テイクをするというわけです。一方的に自分のエネルギーを渡すのではなく、オーディエンスからエネルギーをもらい、それをさらにオーディエンスに返していくのです。
オーディエンスとのエネルギーのやりとりは、テニスを通じて早くから体得していたような気がします。私は小学校からテニスを始め、世界トップ選手をめざして16歳で単身渡米しました。まだ日本にいてシャイな気質が前面に出ていた10代の頃は、勝てそうな試合であっても「誰も観に来ないでほしい、見ないでほしい」と思っていました。
応援されるほどエネルギーが湧いてくる
しかし、アメリカに来てから気が付きました。たくさんの人の応援があるほど、エネルギーをもらっていいプレーができるのです。
大学の頃は、みんなが観に来てくれると「あ、来た、来た。これでもっとエネルギーが出せそう」と思ったし、拍手をしてもらうと元気が出て、「よし、行くぞ!」と力が湧きました。特に負けそうなときのまわりの応援は、エネルギーとして全部、体に入り込む感覚がありました。「さあ、これで巻き返すぞ!」と、メンタル的に持ち直したものです。
でも、何もしなくても自然発生的にオーディエンスからエネルギーをもらえるとは限りません。もちろん、どんな状況でも応援してくれる友だちなどはいますが、オーディエンスのほとんどはプレーの内容に反応します。こちらがエネルギーを与えて応援したくなるようなプレーの姿勢を見せることで初めて応援してくれるのです。
グランドスラムなどの大舞台で、対戦後に勝った選手がコート上でインタビューを受けることがありますね。多くの選手が「応援してくれた皆様、ありがとうございました」と述べることが多いのは、優等生的発言でも、観客に気を遣っているからでもないのです。実際にオーディエンスからエネルギーをもらっているのです。
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