ヤフー「検索結果削除基準」は、まだ不十分だ 削除要請に、どう応じるのか?

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ただ、例外的な措置として、個人の生命や身体に危険を生じさせうる情報や、第三者の閲覧を前提としていない私的な性的動画・画像の場合は、検索キーワードがどのようなものであっても、検索結果そのものを表示しないようにする。

このような判断基準が明らかにされたが、結局のところ、実際に情報を削除するかどうかは、表現の自由とプライバシーのバランスを考慮して、ヤフーが個別に判断することになる。今回の「ヤフー削除基準」をどう評価すべきか。インターネット情報の削除問題に取り組んでいる神田知宏弁護士に聞いた。

ヤフーの新基準は合格点か

「ヤフーは今回、『スニペット』(検索結果に表示されるサイトの文章を抜粋した部分)にプライバシー侵害があれば、削除するという基準を示しました。これは、大阪高裁判決(2015年2月18日)でも示されている判断であり、好意的に受け止めることができます」

神田弁護士はこう指摘する。スニペットの非表示は、どういう効果があるのだろうか。

「個人のプライバシーを侵害するスニペットが、検索結果に表示されなくなるのですから、個人の私生活の平穏が守られることになるでしょう。また、長期間経過した過去の軽微な犯罪歴を非表示にするという基準も示されており、これによっても、更生後の私生活の平穏が守られることになります」

では、今回の新基準は満足のいくものなのだろうか。

「まだまだ、不十分な点が大いにあります。まず、例外措置以外は、検索キーワードが限定される点です。特定のキーワードが入力された場合にしか、その検索結果が非表示になりません。プライバシー侵害のページへ誘導する検索結果なのですから、どんなキーワードで検索された場合にも、非表示にすべきでしょう」

神田弁護士によると、ほかにも不十分な点があるという。

「『スニペット』だけを非表示にするという対応にも、問題があると思います。スニペットを非表示にしても、タイトルとリンクが残っていれば、プライバシー侵害の記事を表示できるのですから、スニペットだけでなく、タイトルやリンクも削除すべきだと思います。

また、スニペットだけが削除されていると、そこに知られたくない情報があるのだとわかりますから、むしろ、興味をもってクリックされてしまう危険があるでしょう」

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