「黒人の髪型」で卒業式隔離→その後起っている事 一過性の問題にしないために何ができるか

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髪質・髪型を基とした差別の禁止求める署名活動には多くの賛同の声が寄せられている(写真:ジャパン・フォー・ブラック・ライブス提供)

兵庫県姫路市の県立高校の卒業式で、黒人ルーツの髪型をしていた男子生徒を隔離したことを受けて、バイレイシャル(2つの人種的ルーツを持つこと)あるいは、多様な人種・文化的バッググラウンドを持つ生徒を対象とした学校での髪質・髪型に基づく差別の禁止を求める署名活動が行われている。署名活動にはすでに4月11日時点で2万6000筆以上の署名が集まっており、目標の10万署名に届き次第、文部科学省に送られる予定だ。

今後も増えることが見込まれる「問題」

3月28日付の毎日新聞によると、アフリカ系アメリカ人の父親と日本人の母親の間に生まれた生徒は、高校生活を締めくくるために友人と思い出を作ることができなかったという落胆の気持ちを表明した。

学校は当生徒に対して彼の髪が長すぎるため、「きちんとした学生らしい髪型」を求める校則に違反しているとして、髪を切るよう事前に伝えていた。生徒は自分の髪がまとまって見えるように髪を編むことに決め、インターネットでこの髪型「コーンロウ」がアフリカにルーツを持つ黒人文化の伝統であることを調べていたという。

日本における髪型を基にした差別はこれが最初ではなかったし、これが最後になることもないだろう。この問題については筆者もこれまで書いている(「黒人の髪型」が校則違反になる学校の超理不尽)。日本で今後、多様な人種や文化的ルーツを持つ子どもが増える中で、“一般的”な学校にもバイレイシャル、多文化、非伝統的な生徒が増えることは間違いない。

日本の学校の生徒のほとんどは伝統的な日本人であり、校則はこれを反映しているが、今後生徒のバックグラウンドが多様化する中で、見直される必要が出てきている。

今回、署名活動を始めたのは、非営利団体「ジャパン・フォー・ブラック・ライブス」。同団体は、日本人がどのようにしてアフリカの人々から恩恵を受け、多様なアフリカの歴史、文化、さらには、アフリカ系の日本在住者に対して理解を深めることができるかを意見交換することを目的として設立された。

署名活動を始めた同団体代表の川原直実さんとエリカさんは、きっかけについて、毎日新聞の記事を読んだとき怒りがわき、「私たちはこの記事をツイッターとインスタグラムで共有し、これが一度きりの出来事ではないことを説明しました。これは毎年起きていることなんです」と説明している。

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