アラサーのための戦略的「人生相談」--「ゆでガエル」として生きるほうが、幸せでは?(その2)

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 現在の組織において、それなりの評価を受けて昇進し、それなりの地位を得た人は、また同時にそれなりの影響力を行使できる人でもありますが、彼らに現状を否定することを期待するのは、普通に考えて、決して合理的ではありません。彼らが現状を前提にして合理的に考えて行動すればするほど、「改革」からは遠ざかるはずです。

『イノベーションのジレンマ』の著者クリステンセンは、ここで「分離」というツールを提言しています。平たく言えば、「体制の中核から離れたところで、ひっそりと事を始めよ」ということです。革命はつねに「辺境から」起こるもの。日本の明治維新だって、関西や関東からではなく、薩摩や長州という辺境の地から起こったでしょ。
 
 問題を先送りしたのは、「戦略」的視点を欠き、短期的な成果だけを追って、中長期的な視点で取り組むべき構造的な問題から目を背けてきたってことです。「このままでは、いつかはうまくいかなくなる」と思っていても、「いつか」がわからない。正確に言えば、「いつか」を考えずに、何とか逃げ切りたい。そして団塊の連中は何とか逃げ切ったのです。その次の55年体制の「おいしい生活」を堪能してきた私たち世代は、ついに逃げ切れなかった。問題は、アラサーのあなたたちです。どうしますか?

今次の震災の直後の某テレビ局の座談会で、ソフィア・バンクの藤沢さんが「私たち日本人は、これまで変わらなければならないと思っていたけど、実際は変われなかった。しかし、この震災で待ったなしに変わらなければならない状況に追い込まれた」と言っていましたが、直後にも関わらず冷静な判断をしているなあ、と感心しました。全面的に賛成です。

アラサーの3つの選択肢

アラサ-のあなたたちにとって、恐らく選択肢は3つです。

第1は、従来型の踏襲で「耐えて、待つ」。第2は、体制内改革を目指す。第3は、「分離」、つまり「去って他に行く」。

第2の選択は、必ずしも「戦う」必要はなく、「面従腹背」で結構です。間違っても上の世代の言うことを丸呑みで信じてはいけません。2番目を試して、だめだったら3番目、というのが一番現実的かつ建設的でしょうか。第1の「耐える」だけは選択肢として誤りだと思いますよ。


ひろせ・いちろう
 1955年生まれ。東京大学法学部卒業。80年、電通入社。トヨタカップを含め、サッカーを中心としたスポーツ・イベントのプロデュースを多数手掛ける。2000年に電通を退社し、スポーツ・ナビゲーションを設立。その後、独立行政法人経済産業研究所の上席研究員を経て、04年にスポーツ総合研究所を設立し、所長就任。江戸川大学社会学部教授を経て、多摩大学の教授として「スポーツビジネス」「スポーツマンシップ」を担当。著書に『Jリーグのマネジメント』『スポーツマンシップ立国論』など。現在東京と大阪でスポーツマネジメントスクールを主宰し、若手スポーツビジネスマンを育成している。
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