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浅田次郎が語る「日本の運命」<下>

『蒼穹の昴』の舞台、紫禁城(写真:rabbit75_pix / PIXTA)
 今年1月に『日本の「運命」について語ろう』(幻冬舎)を刊行した、作家で、日本ペンクラブ会長の浅田次郎氏へのインタビューの第3回目。ベストセラー『蒼穹の昴』の話や、浅田氏が長く続けてきた商売の話、小説家という仕事についてなどをお聞きした。

前々回はこちら:浅田次郎インタビュー〈上〉

前回はこちら:浅田次郎インタビュー〈中〉

便利な世の中には必ず落とし穴がある

――『蒼穹の昴』は小説とはいえ、歴史的な事実の記述が詳細です。中国の隋から清まで1300年以上の歴代王朝の政治家、官僚は全員が詩人なのですか。

この長期にわたって一貫して科挙の試験だけは続いた。詳細に調べてないと小説に面白さが生まれない。興味も湧かない。『蒼穹の昴』に詳しく書いたが、科挙に受からないと高級官僚にはなれない。それも、配点の3分の1が詩作だった。文治国家としての中国の面目躍如ではないか。

――それにならってというわけではないでしょうが、ご執筆は今もペンに原稿用紙なのですね。

最近、実はiPadを買った。信じられないことまでわかる。わかった時、つい結構広い自分の書庫を振り返ってしまった。ここは何のためにあるのだろうと。中国のことを誰が書き込んでいるのか知らないが、iPadにはよくこんなことがわかるなということまで表示される。清朝の愛新覚羅家はよく知られているが、たくさんある王家のうちの慶親王と打つとダーと検索結果が出てくる。でも、参考程度にしかしない。信じられないというより、信じたくない。便利な世の中には必ず落とし穴がある。

――規律のある仕事ぶりに定評があります。

本は時期を狙って出すのは難しい。連載を抱えて、それに沿って原稿を書いているわけだから、それがうまい具合に終幕を迎えて、うまい具合に読まれるタイミングでなければいい時期にははまらない。

労力を惜しまず、同時に本を読む習慣は忘れない。1日の時間割は決まっていて、日の出前に起き、書く仕事は午前中に終わらせる。午後からは本を読み、たまにテレビを見る。すべて自宅で。缶詰で原稿を書くことはない。たばこは吸うが、酒はいっさい飲まない。酒を飲まないと夜が暇。飲酒は時間を食う。飲む時間だけでなく、酔っている時間がある。ほとんどの人はその時間を計算に入れていない。その間、ほかのことを何もできていない。

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