日本の150年は変えられない「運命」だった 浅田次郎が語る「日本の運命」<上>

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作家・浅田次郎氏へのインタビュー。その歴史感とは?
今年1月に『日本の「運命」について語ろう』(幻冬舎)を刊行した、作家で、日本ペンクラブ会長の浅田次郎氏へのインタビュー。第1回目は、浅田氏の歴史観などをお聞きした。前・中・後編の3回に分けてお送りする。

 

――語り下ろしの著書は珍しいですね。

初めて。最近はそういう依頼が多くあるが、そもそも語り下ろしをやったことがない。小説家は字を書いてなんぼであり、いっさい断ってきた。この本は実は講演集。講演録なら話は別だ。初めてしゃべり言葉を本にした。

――もちろん新たに推敲された。

僕は何でも人任せがダメな人間で、編集者泣かせかもしれない。しゃべった言葉でも、いざ活字になる、本になるとすれば、読者にとっては僕の本だから、それだけの責任を果たさないといけない。そういう意味で、ある程度、筆を入れさせてもらった。

歴史を正確に知っておくことが必要

――好んでここ150年の歴史に材をとってきました。

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歴史を考えるとき、幕末・明治維新から150年ほどが経ち、何を間違い、何が成功したか、とは考えない。

どうも、この通りにしかならなかったのではないかと、わりと運命的なものを感じる。これから先も日本の運命はあるのだろう。それは変えられるものかどうかわからない。ただ正確に知っておくことは必要なのだろうと思い、講演をずっとしている。小説もそのつもりで書いている。

150年というのはひとつの歴史だから、どうしても幕末・維新から今日の歴史を分けて考えがちだ。特に日本は元号があるので、明治と大正、昭和を別々の時代と考え、なおかつ、違う国家観で戦前と戦後をとらえる。

だが、よく考えてみるとひとつの国の通史だから、太い部分は今日までつながっているはず。むしろ運命的につながっているというのが僕の考え方だ。

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