まるで宮殿、インド「世界遺産の駅」の豪華絢爛 ムンバイのターミナル、英印の建築様式が融合

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インド・ムンバイ チャトラパティ・シヴァージー・ターミナス(CSMT)
インド・ムンバイの鉄道駅、チャトラパティ・シヴァージー・ターミナス(CSMT)の偉容(筆者撮影)
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歴史的、文化的価値が高い鉄道施設は世界中に数々あれど、ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)の世界遺産として登録されている場所は少ない。しかも「駅」そのものが遺産登録されている物件はわずか1カ所だ。

その駅とは、インド・ムンバイにあるチャトラパティ・シヴァージー・ターミナス(略称CSMT)だ。乗降者数は1日300万人を超え、インドでも最大とされる。世界で唯一、世界遺産に登録された鉄道駅。いったいどんな駅なのか。

インド最大商業都市の玄関口

インド最初の鉄道は、イギリス領インド時代の1853年、ボンベイ(現在のムンバイ)と郊外を結んで敷設された。ただ、最初の開通時は、市街地の中心部からやや北にあるバンダー(Bandar、Bori Bunderとも)とターネー(Thane)間を結ぶにとどまった。

CSMTの着工は最初の鉄道開通から25年後の1878年で、それから約10年の歳月を経て完成した。現地に駐在する日本人は「日本初の鉄道は1872年に新橋―桜木町間に開業したが、東京駅ができたのはそれよりも後のこと。ムンバイの状況もそれに似ている」と説明する。

駅は、起点や終点という意味を持つ「ターミナス」と名乗るだけあって、18面あるプラットホーム全てが頭端式(行き止まり)となっている。ムンバイはイギリス領時代からインド最大の商業都市だが、市街地の三方を海に囲まれており、こうした地形が、頭端式ホームの巨大ターミナルができた理由でもある。

ムンバイCSMT
ムンバイCSMT駅舎。時計の真下が白くなっているのは、ビクトリア女王の彫像を外した跡だ(筆者撮影)
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