環境破壊、不平等、貧困……今、世界中で多くの人々が、資本主義が抱える問題に気づき始めている。
経済人類学者のジェイソン・ヒッケル氏によれば、資本主義は自然や身体をモノと見なして「外部化」し、搾取することで成立している、「ニーズを満たさないことを目的としたシステム」であるという。
そしてヒッケル氏は、「アニミズム対二元論」というユニークな視点で、資本主義の歴史とそれが内包する問題を白日の下にさらし、今後、私たちが目指すべき「成長に依存しない世界」を提示する。
今回、日本語版が4月に刊行された『資本主義の次に来る世界』より、一部抜粋、編集のうえ、お届けする。
経済人類学者のジェイソン・ヒッケル氏によれば、資本主義は自然や身体をモノと見なして「外部化」し、搾取することで成立している、「ニーズを満たさないことを目的としたシステム」であるという。
そしてヒッケル氏は、「アニミズム対二元論」というユニークな視点で、資本主義の歴史とそれが内包する問題を白日の下にさらし、今後、私たちが目指すべき「成長に依存しない世界」を提示する。
今回、日本語版が4月に刊行された『資本主義の次に来る世界』より、一部抜粋、編集のうえ、お届けする。
銀行の資金はどこから来るのか?
わたしたちの経済が借金だらけになっている主な理由は、経済システム自体が、債務の上に成り立っていることにある。
わたしたちは、銀行でローンを組む時、銀行が貸してくれるお金は、銀行が他の人の預金から集めて、地下金庫かどこかに保管している蓄えだと考えがちだが、そうではない。
銀行が保有すべきとされる蓄えは、貸し出す資金の約10%か、それ以下でしかない。これは「部分準備銀行制度」と呼ばれる制度だ。
つまり、銀行は実際に保有する資金の約10倍の資金を貸し出しているのだ。となると、実際には存在しない、その資金はどこから来るのだろう?
銀行は、借り手の口座に入金する時、そのお金を何もないところから作り出す。文字通り、融資することで作り出すのだ。
トピックボードAD
有料会員限定記事
政治・経済の人気記事
無料会員登録はこちら
ログインはこちら