環境破壊、不平等、貧困……今、世界中で多くの人々が、資本主義が抱える問題に気づき始めている。
経済人類学者のジェイソン・ヒッケル氏によれば、資本主義は自然や身体をモノと見なして「外部化」し、搾取することで成立している、「ニーズを満たさないことを目的としたシステム」であるという。
そしてヒッケルは、「アニミズム対二元論」というユニークな視点で、資本主義の歴史とそれが内包する問題を白日の下にさらし、今後、私たちが目指すべき「成長に依存しない世界」を提示する。
今回、日本語版が4月に刊行された『資本主義の次に来る世界』より、一部抜粋、編集のうえ、お届けする。
経済人類学者のジェイソン・ヒッケル氏によれば、資本主義は自然や身体をモノと見なして「外部化」し、搾取することで成立している、「ニーズを満たさないことを目的としたシステム」であるという。
そしてヒッケルは、「アニミズム対二元論」というユニークな視点で、資本主義の歴史とそれが内包する問題を白日の下にさらし、今後、私たちが目指すべき「成長に依存しない世界」を提示する。
今回、日本語版が4月に刊行された『資本主義の次に来る世界』より、一部抜粋、編集のうえ、お届けする。
投資家は成長を追い求める
アマゾンやフェイスブックなどの企業が拡大し続けるのは強欲だからだ、とよく言われる。マーク・ザッカーバーグのようなCEOは金と権力に夢中になっているとも言われる。
だが、現実はそれほど単純ではない。実際は、これらの企業とそのCEOは、構造的な成長要求に支配されているのだ。世界各地の「ザッカーバーグ」は、より大きな機械の中で熱心に動く歯車にすぎない。
その仕組みはこうだ。投資家の観点に立ってみよう。年5%の運用益を期待して、フェイスブックに投資したとする。覚えておいてほしいのは、期待される運用益が指数関数的に増えることだ。
フェイスブックが毎年同じ利益を出し続けた場合、成長率は0%で、投資家に、投資した金額を返すことはできても、利子はつかない。投資家に利益をもたらすには、毎年、前年より多くの利益を出さなければならないのだ。
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