企業に「永遠に成長を強いる」絶望的なメカニズム 「複利的成長」を求め続ける資本の暴力的な力

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この成長の非現実的な性質を捉えた古い寓話がある。古代インドの数学者の話だ。王は彼の業績を称えるために宮殿に招き、「何でも欲しいものを言いなさい。それを授けよう」と言った。

数学者は謙虚にこう答えた。「王様、わたしは控え目な人間です。わずかばかりの米をいただければと存じます」。

彼はチェス盤を取り出すと、こう続けた。「1つ目のマスに米を1粒置き、2つ目に2粒、3つ目に4粒、というように、最後のマスに行き着くまで米粒を倍々に増やしてください。それだけの米をいただければ十分でございます」

王は奇妙な要求だと思ったが、同意した。数学者が贅沢な褒美を望まなかったことを王は喜んだ。

チェス盤の1列目が終わる時、米は200粒より少なく、1食分にも満たなかった。しかし、その後、驚くようなことが起きた。まだ半分しか来ていない32マス目で、必要な米粒は20億粒を超え、王国は破産した。

もし続けることができていたら、最後の64マス目では米粒は1800万兆に達しただろう。インド全土を厚さ1メートルで覆い尽くすほどの米だ。

3%の成長率でもありえない経済規模に

経済成長においても同様の奇妙なメカニズムが働く。数学者リチャード・プライスは1772年にすでにその傾向を指摘している。複利で増える貨幣は「初めのうちはゆっくり増えていく……しかし、増える割合は次第に速くなっていくので、やがて想像もできない速さになる」と彼は述べている。

たとえば2000年の世界経済が年3%の割合で成長するとしよう。この緩やかに見える成長でさえ、経済産出高は23年で倍になり、21世紀半ばより前に、つまり人間の寿命の半分の年月で4倍になる。

このペースで成長が続けば、今世紀末には経済規模は20倍になる

――2000年の段階ですでに騒々しかった経済が、20倍になるのだ。さらに100年後には370倍になり、さらに100年後には7000倍、といった具合だ。どうなっているのか想像も及ばない。

この攻撃的なエネルギーは急速な技術革新をもたらし、それこそが資本主義の特徴だ、と考える人もいる。確かにそれは事実だ。

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