環境破壊、不平等、貧困……今、世界中で多くの人々が、資本主義が抱える問題に気づき始めている。
経済人類学者のジェイソン・ヒッケルによれば、資本主義は自然や身体をモノと見なして「外部化」し、搾取することで成立している、「ニーズを満たさないことを目的としたシステム」であるという。
そしてヒッケルは、「アニミズム対二元論」というユニークな視点で、資本主義の歴史とそれが内包する問題を白日の下にさらし、今後、私たちが目指すべき「成長に依存しない世界」を提示する。
今回、日本語版が4月に刊行された『資本主義の次に来る世界』より、一部抜粋、編集のうえ、お届けする。
科学が世界観を変えるとき
時として、科学的証拠が文明社会の支配的な見解と食い違うことがある。そうなると、わたしたちは選択を迫られる。科学を無視するか、世界観を変えるか、と。
チャールズ・ダーウィンが、人間を含むあらゆる種が共通の祖先から進化したことを説明した時、世間は彼を嘲笑した。
当時は、「人間は神によって神の写し身として造られたのではなく、人間以外のものから進化した」という考えや、「この地球の生命の歴史は聖書が示唆する数千年よりはるかに長い」という考えは、受け入れがたいものであった。
中には、奇抜な代替理論を考案して、ダーウィンの説明を排除し、現状を維持しようとする者もいた。
しかし、真実は明かされてしまった。間もなくダーウィンの主張は科学的コンセンサスとなり、人々の世界観を永遠に変えた。
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