「デカルトの二元論」が資本主義を台頭させた理由 生態系の危機といった問題の根底にある存在論

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人間を自然と切り離す二元論は、自然を「資源」として搾取することを正当化しました(写真:Fast&Slow/PIXTA)
環境破壊、不平等、貧困……今、世界中で多くの人々が、資本主義が抱える問題に気づき始めている。
経済人類学者のジェイソン・ヒッケル氏によれば、資本主義は自然や身体をモノと見なして「外部化」し、搾取することで成立している、「ニーズを満たさないことを目的としたシステム」であるという。
そしてヒッケルは、「アニミズム対二元論」というユニークな視点で、資本主義の歴史とそれが内包する問題を白日の下にさらし、今後、私たちが目指すべき「成長に依存しない世界」を提示する。
今回、日本語版が4月に刊行された『資本主義の次に来る世界』より、一部抜粋、編集のうえ、お届けする。

資本主義を支える存在論(オントロジー)

今後わたしたちが進むべき道を見つけるには、まず、わたしたちがどのように経済成長という要求に組み込まれているかを理解する必要がある。

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それには資本主義の歴史を辿り、その機能を支えるロジックと、資本主義がどのように全世界に広まったかを理解しなければならない。

その途中で、思いがけない問題が関わっていることを知るだろう。資本主義の成長の軸になっている採取のプロセスは、最終的にはある種の存在論(オントロジー)に依拠する。根本的な問題はそこにあるのだ。

現在の資本主義社会に生きる人々は、人間社会は他の生物の世界とは根本的に異なると教えられてきた。人間は「自然」とは切り離された優れた存在で、精神と心と主体性を備えているが、自然は不活発で機械的な存在である、と。

この世界観は二元論と呼ばれる。プラトンからデカルトに至る歴代の思想家から受け継いだ考え方だ。

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