わたしたちの経済はなぜ「借金だらけ」なのか 銀行の錬金術が生んだ熾烈な「椅子取りゲーム」

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誰一人として、ポスト資本主義経済のための簡単なレシピを提示することはできない。結局、それは集団のプロジェクトとして進めていくべきなのだ。

ここでわたしにできるのは、いくつかの可能性を示し、それらが人々の想像力を刺激することを祈るだけだ。どうやって実現するかについては、社会正義や環境正義を求める歴史上のあらゆる闘争と同じく、ムーブメントが必要とされるだろう。すでにそれはいくらか出現している。

学校の気候変動ストライキ、環境保護団体エクスティンクション・レベリオン、ビア・カンペシーナ〔中小農業者の国際組織。小規模で持続可能な農業を目指す〕、スタンディング・ロック〔アメリカ先住民による水源保護活動〕等々。人々はより良い世界を切望するだけでなく、その実現のために結集している。

カギとなるのは人々の民主的な力

こうしたムーブメントは自然に生じるわけではない。それを起こすには地域社会の組織化というハードワークが求められる。また、環境保護運動は、現職の政治家に軌道修正を要求できるほどの政治的力を獲得するために、労働者階級や先住民族と連携する必要があるだろう。

わたしは政治戦略家ではないが、希望的観測を一つ述べておきたい。必要とされる転換を遂げるには、全体主義的な政府が上から強制するしかないと考える人々もいる。しかし、この思い込みは間違っている。真実はまったく逆だ。

(翻訳:野中香方子)

ジェイソン・ヒッケル 経済人類学者

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Jason Hickel

英国王立芸術家協会のフェローで、フルブライト・ヘイズ・プログラムから研究資金を提供されている。エスワティニ(旧スワジランド)出身で、数年間、南アフリカで出稼ぎ労働者と共に暮らし、アパルトヘイト後の搾取と政治的抵抗について研究してきた。近著The Divide: A Brief Guide to Global Inequality and its Solutionsを含む3冊の著書がある。『ガーディアン』紙、アルジャジーラ、『フォーリン・ポリシー』誌に定期的に寄稿し、欧州グリーン・ニューディールの諮問委員を務め、「ランセット 賠償および再分配正義に関する委員会」のメンバーでもある。

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