高齢者の不安や孤独に「寄り添う」悪徳商法10選 90万円のリフォーム工事で321万円請求の驚愕

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全国の消費生活相談件数は2004年度をピークにいったん減少するも、2008年以降は高水準で推移している。消費者庁の推計によると、消費者被害やトラブルで支払われた金額の総額は約5兆9000億円(2021年)に上る。

この推計値には高齢者の「潜在被害」も上乗せされている。高齢者の被害は本人が被害と気づかず、相談しないことが多いからだ。

実際、高齢者の場合、家族や周りの人が被害に気づくことが多い。

貴金属を低価格で買い取り

九州地方で一人暮らしをする男性(80代)は、訪問買い取り業者に、時計1本と貴金属6点を合計3万円という安値で買い取られた。妻の形見の指輪も含まれていたという。偶然、介護ヘルパーがその場を目撃したことから発覚した。

貴金属を不当に安く買い取る「押し買い」は、「何でも買い取る」と伝えて訪問、最終的に高価な貴金属を出させるという手口だ。

(イラストレーション:丹下京子)

その男性の生活支援を担う家族代行サービス会社・LMNの遠藤英樹代表は、「ヘルパーが気づかなかったら、被害はわからないままだったはず」と言う。

押し買いというと乱暴なイメージがあるが、買い取り業に精通した業界関係者によると、訪問営業マンの特徴は「感じがよくて優しい、高齢者に寄り添ってくれるような人」だ。ゆえに「だまされた」とは感じにくい。

「悪徳商法や詐欺は相手の不安をたきつける。誰でも1つは当てはまる健康やお金、親子関係の不安、そして孤独だ」(西田教授)

高齢者を孤立させれば、不安や孤独に「寄り添う」悪徳業者の思うつぼだ。

井艸 恵美 東洋経済 記者

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いぐさ えみ / Emi Igusa

群馬県生まれ。上智大学大学院文学研究科修了。実用ムック編集などを経て、2018年に東洋経済新報社入社。『週刊東洋経済』編集部を経て2020年から調査報道部記者。

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