高齢者の不安や孤独に「寄り添う」悪徳商法10選 90万円のリフォーム工事で321万円請求の驚愕

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「後から考えればおかしいと思うけど、そのときはあっという間に話が進み、娘に連絡する時間もありませんでした」と吉永さん。

業者が契約書を作り直したのは、工事が進み、日も沈んだ頃だ。吉永さんに以前作成した契約書を出させると、その場で破いて持ち帰った。作り直された契約書は調湿剤以外に外壁やベランダ、防水の工事まで含まれ、総費用は321万円に上った。

工事から4日後、吉永さんは友人に相談し、クーリングオフを行おうとした。訪問販売は契約日から8日以内であればクーリングオフができるからだ。ところが、業者が工事当日に作り直した契約書の日付は、最初に点検を行った日付(14日前)になっていた。それを理由に業者はクーリングオフに応じなかった。

吉永さんは不法な勧誘で契約を余儀なくされたとして、業者に損害賠償を求める訴訟を起こした。大阪地方裁判所は2022年9月、客観性に欠ける点検や工事内容の拡大を不法行為と認め、吉村さんはすでに支払った90万円も取り戻した。

個別の被害回復には限界

吉永さんの代理人を務めた川本真聖弁護士は、「契約書に署名押印があれば自己責任だと考える裁判官もいる。証拠が手薄なことや裁判の負担から泣き寝入りしてしまう高齢者は多く、個別の被害回復には限界がある」と言う。

国民生活センターが注意喚起をする高齢者に多いトラブル10選の中でも、トップに挙げられているのが住宅修理だ。

一軒家では屋根や床下、マンションでは給湯器、つまり住民には見えにくい部分が狙われやすい。

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