高齢者の不安や孤独に「寄り添う」悪徳商法10選 90万円のリフォーム工事で321万円請求の驚愕
東京都は今年1月、給湯器の点検を持ちかけ工事を契約させたリフォーム業者に、業務停止命令を下した。相談件数は73件で、最高契約額は1450万円だった。処分された業者はマンションの定期点検だと思わせ、「給湯器が水漏れしている」とうそを伝えていた。
東京都消費生活部の西尾由美子担当課長によると、被害者宅は築20〜30年のマンションが多く、高齢者単身世帯か、昼間は高齢者しか家にいない世帯だった。
「電話で訪問アポイントを取り付けていることから何らかの名簿があるとみている」(西尾課長)
元警官が架空請求被害に
詐欺被害者の心理に詳しい立正大学の西田公昭教授は、「後で客観的に考えればありえない状況なのに、その場にいる人の判断を重視してだまされることは、誰にでもある」と指摘する。
まさに「ありえない」と思える事件が起きた。
福岡県暴力追放運動推進センター(福岡市)は3月20日、業務に使うパソコンが一時乗っ取られるという被害に遭った。暴力団とのトラブルを抱えた相談者など、延べ3500人の個人情報が外部に漏れた可能性がある。
60代前半の職員がパソコンを操作していたところ、「ウインドウズセキュリティーサービス」を名乗る案内が表示された。「ウイルスに感染してしまった」と焦った職員は表示された番号に電話をかけ、パソコンを操作したところ、遠隔操作に切り替わった。電話口の男は2万円を請求したことから、架空請求詐欺未遂とみられる。
職員は、住民の相談を受ける県警OBだ。同センターの事務局長は「普段は不審なメールは開かず、本当に用心深い人だ」と話す。
パソコンのサポート詐欺や架空請求も高齢者がよく遭う被害だが、暴力団や詐欺の手口に詳しい元警察官ですら見抜けなかった。
インターネットに関連する高齢者の被害は増加している。顕著なのがネット通販の定期購入だ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら